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真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
28部分:第二十四話 心ノ在処
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。確かに危ないし、普通の意見だろう。
けど、それは今この場に置いては違う。なにより、悪の対義語は善だ。正義ではない。
正義ってのは社会における物および人に関する固有の秩序のことだ。それぞれに正義の定義は違ってくる。それを別に否定はしないけど、今のクリスは押し付けだ。そこには正義はない。


「お前さぁ、なんて言うか固すぎる。いい機会だから少し反省しろ」

「お前に説教されたくないな。いい機会と言うなら自分も言おう。大和の作戦の数々、策と言えば聞こえはいいが、お前はただ“セコい”だけではないか」

「ああ、セコいしズルいし卑怯だぜ。でも俺には褒め言葉に過ぎないなクリス。俺は勝てればそれでいい、それだけだ」

「見下げ果てたな。それを肯定するとは」


クリスの指摘に大和は飄々と答えて、そんな大和をクリスは侮辱した。それがまだ自分の物差しで言ってることに気付いていない。


「大和は仲間がなるべく無傷になるように策を出してくれてるんだよ。俺達はそれを知ってるし、コイツを信用してるから背中を預けられるんだ」

「ま、基本セコいってのも確かにあるがな」

咎めるようにクリスに俺が言うと、モモはそれに付け足すように大和に向けて言った。


「仲間のために?……今一つ理解できない」

「お前はドラマの見過ぎだ。もっと歴史を読め」


念のためにクリスに一言言っておく。
策がセコいと言うのは綺麗事だ。クリスは策の本質を理解していない。
誰しもがドラマのように一騎当千の力を持っているわけじゃない。今川軍に挑んだ信長しかり、三国志での赤壁の戦いだってそうだ。圧倒的な数や力を相手にする時はどうしても犠牲が出る。それを少なくし、確実に勝つために策は用いるものだ。


「あのっ……自分ごときが口を挟んで恐縮ですが!そ、その、あまり怒らないで、落ち着いて、その」

「お前もだよまゆっち。そろそろ怒るぞ」

「えっ!?」

「後輩はお前しかいないから丁寧に喋るのはいいよ、けどな……一々私ごとき、とか言うな。いい加減不快だぞ」

「だな、悠里の言うとおりだぜ。お前キャップがいった事理解してねーだろ。さっき俺様も思った。人の顔色うかがいすぎだ。度が過ぎると俺様といえども不快だぜ」

「す、すみません、すみませんっ!!」

「……さっきから意味不明だ」


クリスはまだ理解できてないようすで苛立たしげに呟いた。


「さっきの何が意味不明だ、馬鹿娘。クリス、お前の大切な持ち物を言ってみろ」

「持ち物?」

「何でもいいから言ってみろ。物理的なものだぞ」

「……親からもらった、ぬいぐるみなどか」

「俺は、ぬいぐるみの良さなんて分からないな。部屋がかさばるから、捨てちまえ
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