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真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
28部分:第二十四話 心ノ在処
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中を優しく撫でてやると、京の声は怒りから悲しみに変わっていった。今は怒りより悲しみの方が強いだろうし、こういうのは全部吐き出させた方がいい。
「悠里、もっと強く抱き締めてやれ」
「ああ。京、もういいから」
「う……うぅ……ううぅぅぅううう」
京はそのまま俺にしがみついて呻き声を上げて泣いた。
その場は再び静寂に包まれる。
その光景を見てクリスとまゆっちはどうしていいかわからず、ただ立ち尽くすだけだった。他のメンバーは京の気持ちが分かっているため、何も言わなかった。
「な……何だ。何が気に障った。自分は正しいことを言ったはずだが……」
……何が正しいことだ。この場において自分の非をまだ認識出来ていない。こいつはどうしようもない箱入り娘だ。
きっと、自分の意見を否定されずに生きてきたんだろう。
「クリス、やっぱりそれが正しいと思ってるの?」
「あ、ああ」
「じゃあ、本当にさよならだね」
「え?」
「ちょっと残念だけど仲間にはなれなかったね。でも学校では普通に話そうよ!それじゃあ気を付けて帰ってね〜」
呆然とするクリスにモロは容赦なく言葉をぶつける。最初はモロがキレた事に俺は驚いたが、それが何故なのかはすぐにわかった。モロは仲間の絆を大事にする。だからこの場所を否定したことではなく、京を傷つけたことをわかっていないクリスに怒っているのだ。
「理由を言ってくれ!納得できない!」
自分は正しいことを言ったのに何故、拒絶されるのか。それがクリスには理解できないでいるのだろう。しかし俺達は誰一人として口を開こうとしなかった。
「……モモ、説明してやってくれるか?」
「ああ、わかった」
俺はモモに聞くと、モモは頷いてクリスを真っ直ぐに見据える。クリスもそれに答えてモモを真っ直ぐに見据えると、モモが口を開いた。
「クリ、お前ウザいぞ」
「え……?」
「意味がないってのも、建設的じゃないってのも、全部お前の物差しだろうが。私達は理屈じゃなく、好きでここに集まってるんだ。誰に指図されようがやめる気はないぞ」
モモに言われてクリスは視線を彷徨わせる。漸く自分が傷付けた事をおぼろげに理解したようだった。
「自分はただ……」
「もうよせ、クリス。ここではお前が悪い」
「悪い……自分が悪だと!?」
クリスは大和の『悪い』という言葉に反応した。いや、大和はあえてその言葉を選んだんだろうな。
「この周囲の空気がわからないのか?」
「悪などでは断じてない!確かに自分の物差しではあるが自分以外も普通この意見の筈だ!それがなぜ悪になるのかわからないな!」
そうだろうな
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