暁 〜小説投稿サイト〜
真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
28部分:第二十四話 心ノ在処
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
中を優しく撫でてやると、京の声は怒りから悲しみに変わっていった。今は怒りより悲しみの方が強いだろうし、こういうのは全部吐き出させた方がいい。


「悠里、もっと強く抱き締めてやれ」

「ああ。京、もういいから」

「う……うぅ……ううぅぅぅううう」


京はそのまま俺にしがみついて呻き声を上げて泣いた。
その場は再び静寂に包まれる。
その光景を見てクリスとまゆっちはどうしていいかわからず、ただ立ち尽くすだけだった。他のメンバーは京の気持ちが分かっているため、何も言わなかった。


「な……何だ。何が気に障った。自分は正しいことを言ったはずだが……」


……何が正しいことだ。この場において自分の非をまだ認識出来ていない。こいつはどうしようもない箱入り娘だ。
きっと、自分の意見を否定されずに生きてきたんだろう。


「クリス、やっぱりそれが正しいと思ってるの?」

「あ、ああ」

「じゃあ、本当にさよならだね」
「え?」

「ちょっと残念だけど仲間にはなれなかったね。でも学校では普通に話そうよ!それじゃあ気を付けて帰ってね〜」


呆然とするクリスにモロは容赦なく言葉をぶつける。最初はモロがキレた事に俺は驚いたが、それが何故なのかはすぐにわかった。モロは仲間の絆を大事にする。だからこの場所を否定したことではなく、京を傷つけたことをわかっていないクリスに怒っているのだ。


「理由を言ってくれ!納得できない!」


自分は正しいことを言ったのに何故、拒絶されるのか。それがクリスには理解できないでいるのだろう。しかし俺達は誰一人として口を開こうとしなかった。


「……モモ、説明してやってくれるか?」

「ああ、わかった」


俺はモモに聞くと、モモは頷いてクリスを真っ直ぐに見据える。クリスもそれに答えてモモを真っ直ぐに見据えると、モモが口を開いた。


「クリ、お前ウザいぞ」

「え……?」

「意味がないってのも、建設的じゃないってのも、全部お前の物差しだろうが。私達は理屈じゃなく、好きでここに集まってるんだ。誰に指図されようがやめる気はないぞ」


モモに言われてクリスは視線を彷徨わせる。漸く自分が傷付けた事をおぼろげに理解したようだった。


「自分はただ……」

「もうよせ、クリス。ここではお前が悪い」

「悪い……自分が悪だと!?」


クリスは大和の『悪い』という言葉に反応した。いや、大和はあえてその言葉を選んだんだろうな。


「この周囲の空気がわからないのか?」

「悪などでは断じてない!確かに自分の物差しではあるが自分以外も普通この意見の筈だ!それがなぜ悪になるのかわからないな!」


そうだろうな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ