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無邪気だけれど
第一章
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                  無邪気だけれど
 ライゾウは雄のスコティッシュフォールドだ、長めの毛で基本は白毛だがところどころ背中や尻尾、耳の辺りに黒や灰色もある。三色の毛だ。
 耳はスコティッシュフォールドらしく垂れていて目も足首も身体自体も丸い。勿論顔もだ。
 大柄で体重は六キロを越えている、太っていて腹が出ている。家猫でいつも家の中にいる、外見は非常に可愛く男前ですらある顔立ちだが。
「また悪さしたな」
「あ〜〜っ、お財布下に落として」
 ライゾウを飼っている青葉家の夫婦は困った顔でだ、ライゾウがテーブルの上に上がってそこにあった財布を前足で落としたのを見て言った。
「本当に悪い奴だな」
「仕方ないわね」
「この前はワラビに悪さをしたし」
「そっちもまた、ね」
 家の外の方を見る、サンルームがあるがその中に金色の長い目まで隠れた巻いた長い毛を持つ三十キロはある大きな犬を見た。サンルームの中で大人しい感じで寝ている。雌のブリアードだ、この犬も耳は垂れている。
「わざわざサンルームの中に入って」
「それで顔にパンチをするから」
 所謂猫パンチだ、パンチだが爪も出す。
「悪い奴だな」
「本当に悪戯が好きだから」
 二人でそのライゾウを見て話す、だが当のライゾウは。
 至って平気な顔でテーブルの上で毛づくろいをしている、その顔は家の支配者の様だ。
「仕方ないな」
「怒っても態度を変えないし」
「悪い奴だ」
「昔から悪い子だったけれど」
「最近特にな」
「悪いわね」
 ライゾウを見つつ話す、当のライゾウは今度は大きなあくびをしだした。
 そのうえでテーブルの上で丸くなって寝だした、すると。
 家族はそのライゾウを観つつだ、呆れた顔でまた話した。
「暴れたら寝て」
「ずっと起きないし」
「そして起きたらまた暴れる」
「本当に酷い子ね」
「甘やかしたせいもあるが」
「すっかり悪い子になって」
 気持ちよさそうに寝ているライゾウを観て言うのだった。
 そしてだ、夫の林蔵は妻の郁美にこう言った、二人共もう還暦を過ぎていて髪の毛はすっかり白くなっている。林蔵は白髪に眼鏡をかけた太った顔ですっかり皺が増えた妻に言った。
「ライゾウうちに来て五年か」
「それ位ね、もう」
「ペットショップで買ってな」
「まだ子猫の時に」 
 三ヶ月の時にたまたま二人で外出中に前を通ったペットショップのコーナーにいたのに林蔵が一目惚れして買ったのだ。
「それから五年か」
「最初はお部屋の隅に隠れていたのに」
 家に来てすぐの時はだ。
「それは一日だけで」
「後はずっとこうね」
「悪い奴だな」
「いつもね」
「スコティッシュフォールドは確か」
 ライゾウの種類からだ、林蔵は話した。
「大人しい
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