第六章
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「あの件は無罪だから許したが」
「証拠はなくとも」
「組合も庇っていたからな」
彼が取り入っていたその組織もだ。
「だが組合からも除名されたしだ」
「クビにしても文句は言われない」
「本人が弁護士なり立てて言ってきてもだ」
「その弁護士にですか」
「彼の評判を全部話す」
社長自らというのだ。
「今度裁判になっても陪審員にもだ」
「話して」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「裁判に勝つ」
「そうされますか」
「もうああした手合いはだ」
「会社にいらないですか」
「害にしかならない」
まさにというのだ。
「むしろ今まで諂われていた自分の不明を恥じる」
「私にも何かとへらへらしてましたが」
人事部長もこう言った。
「それも」
「媚だったのだな」
「そういうことですね」
「ならだ」
「はい、もうですね」
「彼はクビだ」
一言であった。
「そうするとしよう」
「では」
こうしてだった、ジョンソンは懲戒免職となった。職がなくなった彼だがまだ失業保険とタカリ先があったが。
これまで彼にいじめられていた者達がタカリ先を助けそちらからの収入もなくなってだった。失業保険もなくなった。
妻は既に彼のあまりもの人間性の卑しさに嫌気がさして離婚していて完全に孤独となった、悪評は親戚中にも広まっていき。
遂に普通には生きていけなくなり詐欺をはじめたがだ。
遂にそれで捕まり今度こそ実刑判決を受けてだった、刑務所に入り。
後は言うまでもなかった、犯罪者でしかも敵ばかり多い彼に頼る先もなく浮浪者になるしかなかった。だが浮浪者達の中でもその性格が忌み嫌われ。
街の片隅で汚れた服でいつも蹲っているだけになった、その彼をだ。
キャメロンはたまたま捜査でロンドンの街を歩いている時に見た、鋭い剣呑な目とわざとぼさぼさにした金髪で彼だとわかったが。
蹲っている彼をだ、キャメロンは横目で見ただけでだった。
そのまま通り過ぎた、そして口の端を歪めてこう呟いた。
「当然の結末だな」
「警部、何か言われましたか」
部下の若い巡査がキャメロンに後ろから問うた。
「一体」
「何でもない」
「そうですか、しかし」
「しかし?」
「さっきの浮浪者ですが」
彼はジョンソンを知らない、だがそれでもこう言ったのだった。
「随分と人相の悪い奴でしたね」
「あの男か」
「今は浮浪者ですが碌でもない奴みたいですね」
「そうだな、ああした奴は碌でもないことばかりしていたな」
「浮浪者といっても色々ですが」
「中にはな」
「ああした碌でもない奴が転落してなった場合もありますね
「そうだな、本当にな」
実際にとだ、キャメロンは巡査に答えた。
「ああした奴もいるな」
「そ
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