第六話 ブラウンシュバイク公
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デ侯が居る。二人とも可笑しそうな表情をしている。ブラウンシュバイク公もだ。俺だけが楽しくない。
「ブラウンシュバイク公か……。今日は何の用かな」
「はっ、此度陛下のお許しを得て養子を迎えましたので御挨拶にと」
「おお、そうか」
ここでも猿芝居か。しかし俺もそれに付き合わねばならん。
「エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイクでございます」
「うむ、良い若者じゃな、ブラウンシュバイク公」
「はっ」
皇帝はブラウンシュバイク公に声をかけた後、今度は俺に視線を向けた
「エリザベートを頼むぞ、あれは予の孫だからの」
「はっ」
これで俺はブラウンシュバイク公爵家の婿養子が決定だ。
「陛下、臣はこれを機に家督をエーリッヒに譲りたいと考えています」
「ふむ、隠居するか」
「はっ、お許しを頂けましょうか」
ブラウンシュバイク公の言葉に皇帝は少し考え込んだ。はてね、義父の隠居は確定事項のはずだが……。
「家督を譲るのは構わぬが、隠居は許さぬ」
何だ、それ……。ブラウンシュバイク公も妙な顔をしている。芝居じゃないな。
「と言いますと」
「これからも宮中には出仕せよ。……そうじゃな、出仕しても爵位が無くては何と呼べば良いか困るの……。そちには大公の称号を与えよう。ブラウンシュバイク大公を名乗る事を許すぞ、もっとも大公領というのは無いから称号だけじゃの」
そう言うとフリードリヒ四世は可笑しそうに笑った。リヒテンラーデ侯も笑っている。まあ悪い話じゃない。屋敷で暇を持て余すよりはましだろう。リヒテンラーデ侯の考えかな、俺と公の関係を気遣ったか……。
「……恐れいりまする。これからも息子共々、相勤めまする」
ブラウンシュバイク公は感激した面持ちで礼を言うと頭を下げた。俺も頭を下げる。顔を上げると皇帝とリヒテンラーデ侯が満足そうな表情をしている。上手い手だよな。大公の称号だけでブラウンシュバイク公の心を取った。
謁見を終えると俺は義父と分かれた。紫水晶の間に行くとヴァレリーと護衛が待っていた。合流して軍務省に向かう。護衛はどいつも大男だ、見下ろされるのは良い気分じゃない、今日は不愉快なことばかりだ。
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