第六話 ブラウンシュバイク公
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い先短いから急ぐんだろう。俺を一日でも早くブラウンシュバイク公爵家に縛り付けたいらしい。この分で行くとエリザベートとの結婚も早まりそうだ。言っておくが俺はロリコンじゃない、胸を張って言うがどちらかと言えばマザコンだ。エリザベートに悪い印象は持たなかったが、結婚は大人になってからだ。
これから義父、ブラウンシュバイク公と供にフリードリヒ四世に拝謁する。なんだかな、どうしてこうなったんだか。俺にはいまだに良くわからない。フェルナーに、いやこの帝国の権力者どもに上手く操られているとしか思えない。
唯一の救いはラインハルトがこちらに敵対的ではないことだ。皇帝フリードリヒ四世に会ってどうやら多少は変わったらしい。少し考える時間が欲しいと言ってきた。悪い徴候じゃない。
拝謁するために廊下を歩いていると遠巻きに多くの貴族達が俺を見ているのが分かった。そしてヒソヒソと何か話している。見世物じゃない! 全く不愉快な連中だ。これからずっとこんな日々が続くのかと思うとうんざりする。
この場で逃げ出したらどうなるんだろう。いや、皇帝の前で養子は嫌ですと言ったら。……許されるわけ無いよな、それこそ同盟に亡命だよ。公爵位と皇族との結婚を嫌って亡命か……。
凄いな、今年の宇宙十大ニュースのトップは間違いない。おそらくフェザーンじゃ俺をモデルにした映画が作成されるだろう。おそらく公爵令嬢を振った俺の秘密の恋人は亡命者のヴァレリーになるに違いない。大ヒット間違い無しだ。
そんな事を考えていると向こう側からリッテンハイム侯がやってきた。
「ブラウンシュバイク公、これから陛下の下へ行かれるのかな?」
「うむ、養子を迎えたのでな、陛下に御報告をしに行くところだ」
頼む猿芝居は止めてくれ。
「ふむ、ヴァレンシュタイン中将、いやブラウンシュバイク中将か。良い跡取りが出来て羨ましい事だ」
「エリザベートも喜んでいる。サビーネが悔しがってはいないかな?」
「あれは未だ子供だ、それはない」
そう言うとリッテンハイム侯が大きな声で笑った。ブラウンシュバイク公もそれに合わせる。俺だけが沈黙している。
「中将」
「はっ」
「ブラウンシュバイク公爵家とリッテンハイム侯爵家は共に帝室の藩屏として帝国を支えてきた。これからは中将、卿にも帝室の藩屏たることを期待してよいかな」
この陰険親父、碌でもないことを言いやがる。あの時、銃ぶっ放して脅した事を根に持ってるに違いない。
「はっ、期待に背かぬよう務めます」
「うむ、頼むぞ」
ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が顔を見合わせて頷いた。こいつら最初から示し合わせていたな。根性悪どもが!
リッテンハイム侯と別れて先に進むとようやく謁見室に着いた。謁見室にはフリードリヒ四世のほかにリヒテンラー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ