第四章
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「出ていてだ」
「消えたのですね」
「やはり」
「その時も」
「そうなった、当時もな」
こう他の理事達に話すのだった。
そしてだ、彼は理事達にこうしたことも話した。
「実は初代の理事長も開校当時に考えられたらしい」
「同性愛のことをどうするのか」
「そのことで、ですか」
「お考えになられていたのですか」
「校則に入れるかどうか」
まさにこのことでというのだ。
「お考えになられたらしいが」
「こうした理由で、ですか」
「同性愛者自身が少なく妊娠等の心配もない」
「他校とのトラブルも考えにくい」
「だからですか」
「結局校則にはならなかった」
「そこで禁止とならなかった」
「そうだったのですね」
「創設時も」
「その様だ、結局問題となるのは不純異性交遊でだ」
それで、というのだ。
「不純同性交遊はな」
「まずないですし」
「大きな問題とならない」
「だからですか」
「校則にもですね」
「定められなかったしこれからもだ」
未来もというのだ。
「そうなるだろうな」
「そうですか、結局は」
「そうしたものですか」
「同性愛については」
「校則にもならないですか」
「私もノーマルだしな」
つまり同性愛者ではないとだ、岡田は言った。
「君達も殆どがそうだろう」
「否定はしませんが」
「それは人それぞれの趣味ですし」
「否定しても意味がありません」
「宗教的なタブーもありませんし」
少なくとも日本ではそうだ、日本で同性愛が罪となったことはその長い歴史において一度もなかったことだ。
「別にこれといって」
「私は趣味ではないです」
「私もです」
「そうだな、私も妻がいる」
そして子供もいる、岡田にしてもそうだ。
「同性愛には興味がない」
「まあ楽しんでいる人は楽しめばいい」
「生徒達もですね」
「ただし常識での範囲で」
「そういうことですね」
「男女交際もだ、下世話に言えばだ」
岡田はこの前置きから言った。
「犯罪を犯さずコンドームは忘れない」
「そういうことですからね」
「あの校則にしても」
「そういうことですから」
「不純同性交遊も」
「そうなりますね」
「まあそうだ、ではこの件はこれで終わりだ」
岡田は実に素っ気なく言った。
「ではだ」
「はい、次の件ですね」
「第二グラウンドの整備の件について」
「予算はありますが」
「問題は受注する業者です」
理事達は早速その話に移った、岡田もそちらの方により大きい関心を向けた。彼等にしても同性愛の話はこれで終わった、二十年後また話が出たがこの時も同じでそろそろ息子に跡を譲ろうとしていた岡田はまた素っ気ない態度だった。生徒達も世代は違っていてもやはり、だった。
不
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