第一章
[2]次話
不純同性交遊
この学校では校則で不純異性交遊は禁じられていた、このことはどの学校でも同じであり誰も驚くことではなかった。
「恋愛は清く正しく美しくだ」
生活指導の池山尚典の言葉だ、生活指導の教師らしく角刈りでがっしりとした大柄の男らしい顔立ちの中年男だ。いつもジャージ姿だが竹刀は持っていない。
彼はいつもこう言っていた、しかし。
生徒達はその彼の言葉を聞いてだ、首を傾げさせて言うのだった。
「うちの学校で女と付き合え?」
「うち男子校だろ」
「それで何でそう出来るんだよ」
「そりゃ他の学校の女の子と付き合おうと思えば出来るさ」
「そうしたこともな」
「けれどな」
「そこまでするのも難しいからな」
生徒達は口々に言った、それもどの学年の者達も。
「自衛隊より女っけない世界だぜ、この学校」
「女の先生もいないしな」
「本当に一人もいないからな」
「修道院みたいな場所だぞ」
その女っけのなさのレベルはというのだ。
「そんなところでな」
「何で不純異性交遊厳禁だよ」
「他の学校の娘なんてな」
「本当に頑張らないと付き合えないぜ」
実際にというのだ、高校生の恋愛は基本同じ学校の中だ。恋愛が実るにも距離が必要なのは言うまでもない。
「合コンもな」
「やってもな」
「そこから付き合えるか」
「難しいしな」
「しかもうちの学校お堅いイメージあるからな」
実は校則は緩やかだが男子校でそう思われているのだ。
「そうでもないのにな」
「自由な学風だけれどな」
「それでもイメージがそういうのだからな」
「女の子自体が寄って来ない」
「街で声かけてもうちの学校って言えば避けられる」
「友達止まり」
「メールの交換位の」
それで止まる位のというのだ。
「それでどうしてなんだ」
「不純異性交遊禁止なんだよ」
「じゃあ共学にしろ」
「せめてな」
こう言うのだった、このどの学校にもある校則について。
だがそれでもだ、教師達は言うのだった。
「恋愛は清く正しく美しくだ」
「不純異性交遊はするな」
「いい恋をしろよ」
「絶対にそうしろ」
言葉は同じだ、生徒達はこのことにもうちは男子校だろと突っ込みを入れた。しかしここで一人の生徒がこんなことを言った。
「おい、校則隅から隅まで読んだけれど」
「それでどうしたんだ?」
「何かあったのか?」
「何かわかったのか?」
「ああ、うちはな」
この学校はというのだ。
「同性愛禁止されてないぞ」
「あれっ、そうなのか?」
「同性愛はいいの?」
「不純同性愛はいいのか」
「不純同性交遊になるのか?」
「そうした話は一切な」
それこそというのだ。
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