暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
第2章:異分子の排除
第41話「束襲来」
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言葉に、セシリアは思わず突っ込んだ。

「束さんだからね!あれぐらいなら余裕余裕!」

「よし、なら...。」

「さー君のは別だからね!?」

 再び振りかぶる桜に、束は慌ててバットを弾き飛ばす。

「ところで箒ちゃんは?」

「....あれ?」

 束が周りを見渡しながらそういい、秋十はそこでようやく箒がいない事に気づく。

「あー、お前が出てきた辺りに逃げて行ったぞ。」

「えー、せっかくお姉ちゃんが来たのにー。」

 桜はいついなくなったのか気づいており、束は逃げられた事に拗ねていた。

「ま、いいや。この“箒ちゃん探知機”で探してくるねー。」

「(それ探知機だったんだ...。)」

 先程桜が引き抜いたうさ耳を持ち、束は箒を探しに行こうする。

「あ、さー君にあっ君。それと...せっちゃん、()()()でね!」

 最後にそう言い残して、束は去っていった。

「せ、せっちゃん...?」

「束の奴、大抵年上の人以外はああいう呼び方なんだ。あまり気にしなくていいぞ。」

「そ、そうなんですの...。」

 呼ばれた事のない呼称に、セシリアは少し戸惑った。

「それにしても、なぜ束さんがここに...。」

「...今日が箒ちゃんの誕生日だからじゃないか?」

「あー....。」

 それにしてもタイミングが微妙なため、秋十はどこか納得がいかなかった。

「(...おそらくは、“原作”を踏襲するために態と..だな。)」

 桜たちは敢えて“原作”に沿い、その上でイレギュラーを起こしている。
 今回の事もその一環で、全て一夏を困惑させるためだけに行っている。

「...とりあえず、行こうか...。」

「...そうですわね...。」

 束の登場で、精神的に疲れた秋十とセシリアはその場を去る。
 桜も特にやる事はないのでそれについて行こうとした。

「.......。」

 ふと、桜は振り返り、だがすぐに踵を返した。
 振り返った時に見たのは、やってきた道の突き当りの角。
 そこには....。

「.....っ!」

 怒りに醜く顔を歪めた、一夏の姿があった。
 当然、桜はそれを知っていて振り返っていた。

「また....!」

 “原作”と同じイベントは起きる。だけど、それが上手く行かない。
 そんな、理不尽な理由で、一夏は歯ぎしりしていた。

「くそが...!」

 全て桜や秋十のせいだと決めつけ、一夏もその場から去った。



「...見ていて滑稽だね。」

 すると、なぜか束が戻り、去っていった一夏に対してそういう。

「さて、と。片づけておかないとね。」

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