第四章
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「お花屋さんは」
「はい、そこは」
場所も話してくれた、聞くとそこは。
「私の通ってた高校の駅前じゃないですか」
「あっ、そうなんですか」
「懐かしいですね」
思わず笑みを浮かべて言った、その高校時代を思い出して。
「あの時のことを思い出します」
「うちのお店の前は」
「隣に本屋さんありますよね」
「はい、石渡書店ですよね」
「はい、あそこもよく行ってました」
漫画も雑誌も参考書も買った、あのお店のことも懐かしい。
「あのお店でしたら」
「うちの前も通っていますか」
「毎日通ってました」
それも登下校の時いつもだ。
「そうしていました」
「そうですか」
「あそこの商店街は」
「はい、色々お店があって」
商店街のお話にもなった、それでだった。
そこから二人で色々と楽しい話をした、これがきっかけとなってだ。
私達は自然と交際する様になった、商店街にも二人で行くと。
あの曲が商店街の中に流れていた、その曲を聴いてだった。私は笑って言った。
「ここでもこの曲が流れるのね」
「毎日流れてるよ」
「この商店街でも」
「そうなんだ」
「いい曲よね」
「うん、僕も好きだよ」
「この商店街は毎日歩いてたけれど」
それでもだった。
「この曲はなかったわね」
「そうだね」
「何かいつも聴いていて」
それでだった。
「好きになってきたわ」
「ヒットしてるしね」
「ここの商店街に合ってるわね」
この曲が妙にそうなってる気もした、不思議な位に。
「じゃあね、これからもね」
「これからも?」
「この曲聴いていきたいわね」
「この商店街で」
「そう思ったけれどどうかしら」
「いいんじゃないかな」
彼は微笑んで私に言ってきた、穏やかな笑顔で。その笑顔も妙に温かくて凄くいいものに思えた。
「じゃあね」
「ええ、明日も来ようかしら」
「うちに来る?」
「お店に」
「そうしようかしら」
こうしたことを二人で話してだ、そしてだった。
私は彼のお店、高校時代登下校の時にいつも前を通っていた彼の実家のお花屋さんにも入ってだった。次の日も商店街を二人で歩いた。そしてあの曲を聴いた。
そうした日が続いていて何時の間にか私は彼とさらに親密になって大学を卒業したら彼の実家で働く様になって。
彼と結婚した、けれど。
結婚した時はあの歌はもう流れなくなっていた、流行曲なので新しい曲が流れる様になっていた。その新しい曲を商店街で聴いて夫に言った。
「この曲いいわね」
「うん、失恋の曲だけれどね」
「奇麗な曲ね」
お店の中で働きながら聴いて言った。
「毎日聴いてるけれど」
「いいね」
「ええ、じゃあこの曲を聴きながら」
「今日も働こうか」
「そうしましょ
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