第52話
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壊された事は大きな痛手だが、大河に囲まれたこの地、いくらでも利用できる。
報告に有ったような落とし穴で大炎の足を遅らせても良いし、いっそ大橋を落としても良い。
橋さえなければ陽軍の侵攻は難しくなり、魏軍は大橋に使っていた戦力を他に向けられる。
この方法さえ数ある戦法の一つに過ぎない。郭嘉の頭脳を持ってすれば、より効果的な策も生み出せたはずだ。
にも関わらず後退。物見の報告によれば魏軍は官渡に入ったらしい。
「……むぅ」
相手はあの曹操率いる魏軍だ、これで終わりとは思えない。
「麗覇様。兵達が進軍の号令を今かいまかと待っております」
「ならぬ、桂花」
「ハッ」
「兵を三千程見繕って白馬に送れ。罠や伏兵の類が無いか徹底的に調べるのだ」
桂花は直ちに斥候隊を編成、白馬に送った。
迅速に動いた辺り、袁紹が様子見に動く事を見越していたようだ。
この消極的な行動に兵達から不満の声が上がったが、各将がなだめた。
数刻後。戻った斥候隊の報告により白馬が安全とわかると、陽軍は橋を渡り魏軍が布陣していた場所に拠点を移した。
さらに、もぬけの殻となった白馬に各種物資や食料を移送、補給拠点とした。
「さて、これからの展望だが――」
官渡に篭る魏軍をどう相手取るか、或いは官渡へと続く橋で魏軍布陣していた場合、どのように攻撃を仕掛けるか。袁紹と軍師達で話し合いを始めたその時、驚きの知らせが物見により届いた。
「魏軍が敗走を始めただと?」
「はい、官渡から出て行く軍勢の中に民衆の姿が見られました。
現在は許都方面に向けて移動中です」
「麗覇様、これは……」
「追うぞ! 全軍で追撃だ!!」
「待って。追撃は官渡の制圧後じゃないと挟撃される恐れがあるわ」
「ならば追撃に並行して官渡も攻め立てる。者共、我に続けーーッッ」
『オオオオオオ!』
呼び止める間も無く御輿が走り出す。その光景を唖然と見ていた詠の肩を、風が叩いた。
「陽軍には二面作戦が決行できる兵も将も、十分にいるのですよ〜」
にぱー☆ と告げられた言葉に対し、詠は天を仰ぐ。
とんでもない軍容だ――と改めて思った。しかもこれで全力では無い。
今回の戦に動員した兵力は全陽軍の半数以下、本国に残した兵とあわせれば百万を優に超える。
魏軍との兵力差を考えれば、五十万ですら兵力過多だと言うのに――。
一時的とは言え、こんな軍が総大将を務めた連合と渡り合えた自分達を褒めてやりたい。
その後、陽軍は官渡へ進軍。特に妨害も無く魏軍の背が見渡せる場所に布陣した。
魏軍があっさり追いつかれたのには理由が
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