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暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
黒澤流二段蹴り 【透】
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の手錠によって牢の柱に繋がれていたのだ。一体誰が????
「あ、やっと起きたんだ!」
聞きなれた鈴の鳴るような声。声のした方を向くと、ルビィがご機嫌な表情で座っている。
「これはどういうことだ……?なんで手錠なんか持って……」
質問している途中、ルビィが座っているところの畳が外れているのが見えた。隠してあったのか、そこに。
「ルビィのお母さんはね......こういうのを使って遊ぶのが好きだったんだよ、きっと。だからルビィが産まれたんだろうねぇ」
狂気を孕んだ瞳が俺を捉える。
いや、違う。
本能的に狂気だなどと思った自らの思考を戒める。
......狂気?何を言っているんだ。狂ってなんかいない。これこそ真実の愛の形じゃないか。俺はルビィのことを大事に想っている。ルビィも俺のことをこんなにも好きでいてくれている。この手錠なんてその最たる証じゃないか。
きっとルビィは俺とずっと一緒にいたいから手錠をつけたのだ。それはもはや告白に等しい行為だ。ルビィが俺のことをずっと好きだったのは気づいていた。相思相愛。これの何が悪い?
噴水のように湧き出る思考。その意味を考えることなく脳内で一切合切飲み込んでいく。
ルビィが俺を見つめている。その瞳は恋する者の瞳そのもの。何も悲しくなんかない。俺たちは愛し合っている。幸せなんだ。おれたちは……るびぃはしあわせなんだ……るびぃは……
「あれ?お兄ちゃん……どうして泣いてるの?」
「……えっ?」
言われて、俺は、自分でも気づかないうちに?を伝う涙が畳に滴り落ちているのに気づいた。
なんでだ……?なんで……悲しくなんか……ないのに……
???????哀れだ。
俺は、ルビィのことを哀れに思っているんだ。
嗚呼、畜生。
たまらず、俺は言った。
「ルビィ……俺がいてやる……ずっとずっと……俺だけは何があっても……お前の味方だよ……」
「うれしいっ!ルビィも!お兄ちゃんとずっと一緒にいるよ……!」
しなだれかかってくるルビィを抱きとめられるように、手錠が食い込まないようにうまく腕を動かしてやる。
人間の体は温かい。生きている人間は、温かいのだ。
俺はルビィのこの暖かさが好きなのだ。
なのに。
なのに、どうしてこの子の暖かさは……
もう……
もう……この子の心はとっくに……
「あ……お兄ちゃんまた泣いてる」
光の宿らない瞳を細めて、妖艶に微笑むルビィの顔が滲んでいく。
俺は、ルビィの胸でいつまでも、いつまでも泣き続けた。
この子が救われることなんて……ないのだから……
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