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暁ラブライブ!アンソロジー〜ご注文は愛の重たい女の子ですか?〜
黒澤流二段蹴り 【透】
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った一度だけ……一度だけでいいのです。わたくしと……抱擁してくださいますか……?」

 ……ごめん、ダイヤ。

「悪いけど、それはできない。今の俺は……ルビィのことが好きなんだ」

「……わかってましたわ。それでは」

 通話が切れた。

 学生服のポケットにスマホをしまい、門のところで使用人が待ってくれているであろう黒澤家を目指した。



「あ、やっと来てくれた!待ってたよお兄ちゃん!」

 ドアを開けると、さっきまで机で本を読んでいたらしいルビィが本を閉じてこちらに向かってきた。いつものように両手を広げ、抱きついてくるルビィを受け止めた。

「良い子にしてたか?」

 頭を撫でながら俺は言った。

「うんっ!良い子にしてないとお兄ちゃんが会いに来てくれないもん!」

「ははは、そうだな。でも、ルビィが悪い子になんてなるわけねえけどな」

「それより今日は学校どうだった?ルビィは高校がどんなところかわからないからお話を聞きたいな」

「うん?あーそうだな、やたらと男子と女子の壁がうっすいかなぁ」

「へえー」

「あ、そーいやうちのクラスにおもしれえやつ女子がいてな?この前の調理実習で一緒の班になったん……だけど……」

 今日あったことを思い出すために視線を上の方で彷徨わせていた俺は、ルビィの様子がおかしいことに気づかなかった。

 しまった。

 地雷を踏んだのだと、そう思った途端、ルビィの顔から笑顔が消た。スイッチがオンからオフになるように、さっきまでの楽しげだった雰囲気が一瞬にして鋭いものに変わっている。

「あ……あのな」

「お兄ちゃん、なんでルビィ以外の女の人と仲良くしてるの?」

「ああいや、授業とかで」

「なんでなんでなんでなんでなんでっ!?お兄ちゃんにはルビィがいるんだよっ?」

「どうせお兄ちゃんもお姉ちゃんのことが好きなんでしょ!?今までみんなそうだったもん!どうしてルビィのことを見てくれないのっ!?ねえ!」

 ルビィは俺を突き飛ばした。頭を抱えて金切り声を上げる。

「違うんだ、聞いてくれ」

「嫌っ!いやぁあああああ!!うわぁぁああああっ!!」

 蹲り、ただ、幼い子供のように叫び続けた。俺はどうすることもできず、ルビィの背中をさすりながらそれが止むのを待った。

「死んじゃえばいい……みんな……死ねば……」

「もういい……ごめんな……ルビィ」

 壊れたラジオのように呪詛の言葉を吐き続けるルビィを、俺は抱きしめた。



 気づいたら寝てしまっていたようだ。そうだ、ルビィはどうしたのだろう。

 まずは時刻を確認しようとして、気づいた。

「手錠……?」

 俺の両手は錆びた鉄
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