第百二十三話
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「不安なのは分かるが心配しすぎ、だ」
ショウキ、聞こえてるよ! ――と、片手剣をブンブンと振り回してやる気を示すユウキに、確かに不安感を感じなくはないが。最初から戦力外なことが決まっているこちらは、妹のことを心配しすぎているレインとともに、見学がてら草原に座り込んでいた。
「まずは最初の単発ソードスキル。これが出来れば、どんなのだって出来るようになるからさ!」
「おお……」
「まともなこと言ってる……」
「ちょっと、そこ! ……それじゃ、やってみせるから!」
観客からの野次にも負けることはなく、ユウキは片手剣の単発ソードスキル《スラント》の構えを取った。初級ソードスキルはたいていは突きということもあり、槍と片手剣という違いがあろうとも構えはそう変わらず、セブンも見様見真似で槍を構えてみせる。
「それでこう、ズバババン! と!」
「ズババ……バン?」
「化けの皮が剥がれたな……」
ユウキの方は閃光の如くソードスキルを発動したが、セブンはその擬音に対応することは出来なかった。幸いにもこちらの独り言は、ソードスキルの衝撃でユウキには届かなかったようだが、しっかりと隣で苦笑いをしているレインには届いたらしい。
「え? だからこう……ズバババンって」
「ユウキ、チェンジ」
「ええ!?」
残念がっていたユウキを「まあまあ、後は任せて、ね?」と全力でなだめすかして、レインとユウキが講師役を交代する。すると片手剣を鞘にしまったユウキが、フラフラと俺の隣まで歩いてくると、その場で拗ねた様子で座り込んだ。
「なんでよー……」
「まあ、見た方が早いだろ」
そうして不満げにこちらをジト目で見て来るユウキに、とにかく指をさしてセブンたちの方を見せてみる。頬を膨らませながらもそちらを見るユウキだったが、みるみるうちにその表情は変わっていく。
「まずはこの態勢で力を込めて。その力を解き放つ感じで、一点を見ながら突いてみて」
「力を込めて……一点を見ながら……解き放つ!」
レインが手取り足取り態勢を教えてセブンのフォームを作り上げていき、近くにあった木を仮想敵にして注目する。そして言われた通りに力を込めて、槍を突くと同時にその力を解き放つと、槍の初級ソードスキルがその木に向かって放たれた。
「わわ、わ! ……出た! やったよ、お姉ちゃん!」
「うん。上出来」
とはいえ使い手であるセブンが、ソードスキルの発動した衝撃に耐えることが出来ず、槍は目の前の木にすら当たらなかったものの。とにかく発動出来たことに喜ぶセブンと、それを上出来だと褒めるレインの姿を見て、ユウキが負けを認めたとばかりに草原に倒れ込む。
「あー……お姉ちゃんみたい
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