第百二十三話
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層の主街区はこの地下にあり、地上は全てこの草原となっている。
「七色!」
そして主街区に繋がっている地下への階段の近くに、赤髪の少女――レインがこちらを見て安心そうな笑みを浮かべていた……隣に、もう一人。
「あら、ユウキ?」
「やっほー。偶然レインに会ったから、着いてきちゃった」
「大丈夫だった!?」
多分、ショウキもそうでしょ? ――と言いながら、こちらに対して手を振ってくるユウキと、一心不乱にセブンの手を握るレイン。姉からのいきなりなスキンシップに、セブンも目を白黒させていた。
「もう、さっきからレインがこうでさー。ちょっと遅れてるだけだって言ってるのに、七色が誘拐されたーって」
「そ、そんなこと……ないもん」
「あはは……遅れてごめんね、お姉ちゃん」
恐らくそんなことあるんだろうな、と言いたくなるレインの様子だったが、そこには触れないでやると。ごまかしているのを止めて、レインは少し寂しげな表情を見せていた。
「だって……セブンとゆっくり遊べるのも、もう少しだと思うとさ」
「…………」
言い辛そうに手をもじもじと動かしながら、レインはそうして心配していた理由を語る。それはセブンが近々アメリカに帰ることなのは明らかで、それまでにめいいっぱい遊ぶと頭で分かっていても、寂しい気持ちを持ってしまうのは当然で。
「……遠くにいても、二人で出来ることってないか?」
「え?」
ふと、口からそんな言葉が呟かれた。かつての交換日記のような、国外だろうと共に出来るようなことを。そんな思いつきを提案してみると、どうやら中々に好感触なようだった。
「ならさ、歌に関することはどう? 前に聞いた二人のライブ、凄かったし!」
「歌……歌……作詞?」
「作詞! いいわね!」
それからは言い出しっぺはまるで関わることはなく、少女三人の話し合いがとんとん拍子に進んでいく。というか口を挟む暇がないというべきだったが、そんな光景は掛け値なしに微笑ましい。
「よーし! そうと決まれば、さっさとソードスキル教えてもらって、作詞の方も考えましょ!
そうして二人で作詞をする、という方向性で決まったらしく。その話もそこそこにして、今回のそもそもの目的である、セブンへのソードスキルの講習会が始まっていく。
「ふふん。ソードスキルのことなら任せてよ!」
随分とやる気満々なユウキが、講師役としてセブンの前に立っていた。武器は片手剣と槍だが、ユウキが自分で講師役に立候補したのだから、きっと何か考えがあるのだろうと任せることにする。
「こういうの憧れてたんだ……誰かに教えるって……!」
「ええと、お手柔らかに?」
「七色、大丈夫かな……」
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