第百二十三話
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キリトに似た人物のことを思い出す。
「ルクス……?」
「え? ルクス? どこ?」
「……ここ、だよ」
こちらからの問いかけに観念したように、キリトに似た人物は自らを指差した。リズたちとルクスが最初に会った時には、ルクスは今のアバターとは違うアバターを使っており、それはキリトに似たアバターだったと聞いていた。その時には俺は、死銃事件に関わっていたために居合わせなかったが、確かに追われる状況では間違えるほどに似ていた。
「あ、サブ垢ね。でもなんで逃げたのよ?」
「それは……その……たまにこうして、キリト様の恰好で歩いてるなんて……その……」
セブンに問い詰められたキリトのようなルクスが、涙目になった視線でこちらに助けを求めてきた。憧れの人と同じ恰好で街を練り歩く隠れた趣味、なんてそれは友人には言い難いだろうが……それがセブンには伝わらない、というか理解できていないというか。
「そんなことより、ちょっと助けてくれないか?」
「助ける?」
どうしてここにいるかはともかく、ルクスがここにいてくれたことはありがたい。話を流したことにルクスは小さいお礼をしてくれた後、俺たちが今置かれている状況のことを話す。
「なるほど……グウェンが、ね。分かった。ちょっと待っていてくれないか」
そう言って、キリトの恰好をしたルクスは消えていく――顔を赤くしてあたふたしているキリトなど、どうしても目に毒なのでログアウトしてくれてよかったが、ログアウトしたのはそういう訳じゃなく、グウェン相手には普段の恰好でなくてはならないからだ。
「見つけたぁ!」
そしてキリトの格好をしたルクスがこの世界から消えた瞬間、屋根の上からグウェンが顔を出した。どうやら屋根と屋根を飛び移って俺たちを捜していたらしく、すぐさま俺たちの少し目の前に着地した。
「さあ、観念してお縄に――むぎゅ!?」
「うわっ!」
そして捕縛用の網を手に持ちながら、グウェンがこちらに向かって駆け寄ってきた――瞬間、ログインしてきたルクスに直撃した。グウェンが抱きつくような形になって転がっていき、いつものアバターになったルクスが目を白黒させていた。
「……逃げるぞ」
「あ、あっ……そうね!」
ルクスには悪いが、グウェンの相手は任せておこう。二人が混乱している間にその横をすり抜け、セブンの手を引いて走り抜ける。そのままグウェンに追いつかれる前に、なんとか転移門へとたどり着いた。
「何層だ?」
「えーっと……22層!」
まるでエレベーターのように転移門を利用すると、草原が有名な層に転移する。相変わらずの好きになれない転移の感覚に眉をひそめていると、目の前にどこまでも草原フィールドが広がる。この
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