第百二十三話
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ラムと一緒にこのアバターが吹き飛ぶこともあり得る。
「……悪いな」
「ううん、こっちこそ。ちょっとデリカシーが足りなかったわね」
茅場と並び称されるセブンならあるいは、何か見つけられるかもしれないが、このデータはデスゲームから今まで共に生き残ってきた、いわば戦友のようなものだ。何かあれば困るとセブンの申し出を丁重に断ると、街中に設置された転移門が見えてきた。
「あ、それじゃ――」
「――見つけたぁ!」
唐突に、そして突然に。転移門を利用しようとした俺たちの前に、女性プレイヤーが突如として降り立った。その露出度が高いくの一のような恰好と、ゆらゆらと揺れる金髪ツインテールを持つシルフには、多少ながらも見覚えがあった。
「そんな変装じゃこのあたしの目は……げ」
「えっと……」
「ルクスとユウキの友達……よね?」
かつて浮遊城でオレンジプレイヤーであり、ルクスの親友であり、このALOで騒動を起こした女性プレイヤー。一騒動あってこちらに協力してくれた故に、ルクスとともに和解した――名前は失念してしまった彼女は、俺の顔を見るなり嫌そうに顔を歪ませた。
「グウェンよ! グ、ウ、ェ、ン! ルクスはともかく、あの化け物インプとは友達でもなんでもないっつーの! そんなことより、あんたの身柄、いただいていくわ!」
オーバーアクションで彼女は――グウェンは、こちらからの質問を丁重に答えながら、セブンに向かってビシリと指を突きつけた。そのまま何やら宣言する様子に、刀の柄に手をかけながらセブンの前に立った。
「おっと、ここは《圏内》よ?」
「衝撃ぐらいは与えられることは知ってるだろ? また何か考えてるのか?」
「…………え、あんた知らないの?」
人気アイドルとVR空間の研究者だけではなく、このALOにおいてセブンは、最強ギルドの一角《シャムロック》のギルドリーダーだ。その身柄を狙うと宣言するとなれば、今度は何を考えている――と計画するこちらに、グウェンは拍子抜けしたように画面を可視可させ見せてきた。
「セブンを捕まえるクエスト……?」
そこに表示されていたのは、シャムロックが主催者として名を連ねている、プレイヤーが企画したイベント。イベントの内容は簡単なもので、浮遊城の中を歩き回るセブンをシャムロック本部に連れてきたプレイヤーに、豪華景品というものだった。
「他の連中は新フロアを捜してるみたいだけど、ま、あたしにかかればこれぐらい――」
「…………」
「……」
グウェンが自らの髪を掻きあげながら何かを語っている隙に、セブンと顔を見合わせて二人で逃げ出した。突如として判明したこのイベントに、セブンの手を引くことで高速で離れていく。
「あ
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