暁 〜小説投稿サイト〜
Blue Rose
第四十話 ならず者共の暗躍その四

[8]前話 [2]次話
「何かあれば助けないとな」
「そうよ、お友達ならね」
 その関係の相手ならとだ、母は息子にまた言った。
「困った時は助け合うことよ」
「そういうものだよな」
「ギブアンドテイクじゃなくてね」
「損得じゃないな」
「そんなのは抜きにしたよ」
 それこそというのだ。
「そんなものだから」
「友達はか」
「相手が困っていたら助ける」
「純粋にそう思って動く」
「それが友達よ、困っている時に見捨てるのなら」
 そうした関係ならというのだ。
「最初から友達じゃないのよ」
「そういうことだな」
「そんな子に育てた覚えはないわ」
 一切とだ、母は息子にこのことも話した。
「最低な子にはね」
「友達を見捨てたらか」
「そんな奴は屑だ」
 父も言う、彼は吐き捨てる様な口調だった。
「俺も御前をそんな奴に育てた覚えはないからな」
「友達を見捨てる様な、か」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そんな奴はぶん殴ってやる」
「そうか」
「行って来い」
 父はまた息子に言った。
「何時でもな」
「平日でもか」
「二日か三日位は何とかなる」
「一週間でもね」
 二人でまた我が子に言った。
「その間に何とかしてこい」
「優花ちゃんを助けてくるのよ」
「そうしてくるな、その時は」
「よし、それじゃあな」
 ここまで話してだ、父は。
 焼酎の瓶をもう一本出してだ、そして龍馬に言った。
「やる、飲め」
「一本か」
「そうだ、好きな様に飲め」
 見れば黒糖焼酎だ、鹿児島産と書いてある。
「これは美味いからな」
「じゃあ飲むな」
「そうだ、そして何かあればな」
「長崎に行って来るな」
「胸を張って行って胸を張って帰って来い」
 父は我が子に告げた。
「いいな」
「胸を張ってか」
「そうだ、御前は悪いことをしに行くのか?」
「いや」
 すぐにだ、龍馬はそれを否定した。
「そんなことしにわざわざ長崎に行くかよ」
「しかも私利私欲じゃないな」
「それでも行かないさ」
 龍馬はこちらも否定した。
「あいつの、優花の為だ」
「ならいいことだ、いいことをしに行くのならな」
「それならか」
「胸を張って行って来い」 
 こう言うのだった。
「いいな」
「そうか、それじゃあな」
「お母さんも同じよ」
 母も我が子に言った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ