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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第五話 バラ園にて
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ウンシュバイク公爵家の人間になる」

“私はブラウンシュバイク公爵家の人間になる”、その言葉が部屋の中に重く響いた。誰もが重苦しい表情をしている。

「皆内乱を恐れているんです。ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も内乱になれば負けると考えています。リヒテンラーデ侯も国内が乱れるのは避けたい、軍も内乱が何時起きるか判らない状況ではおちおち外征できない。皆内乱は避けたい、だから……」

だからヴァレンシュタイン中将を取り込み、事態の収拾を図った。ラインハルト様が私を見た。困惑したような表情をしている。これからどうなるのかが見えないのだろう。私も同感だ。中将がブラウンシュバイク公になる、そして貴族達が一つにまとまり始めた。貴族は怖くない、しかし貴族達には注意すべきだ。それが現実になりつつある。しかもこのままでは中将が敵になりかねない。これからどうなるのか……。

「ミューゼル提督、これから危険なのはミューゼル提督です」
「私?」
ヴァレンシュタイン中将の言葉にラインハルト様は訝しげに問い返した。中将が頷く。中将の表情は真剣だ、冗談で言っているわけではない。皆も驚いたような表情をして中将を見ている。

「貴族達はこれまで反目していました。だからミューゼル提督にもそれほど関心を払わなかった。しかしこれからは違います。一つにまとまれば当然他に敵を探す。最初に標的にされるのはミューゼル提督です」
「……」

中将は私と同じ事を考えている。これからのラインハルト様は非常に危険な立場に置かれる事になる。そして敵対する相手になるのはヴァレンシュタイン中将、いや新ブラウンシュバイク公だろう。公爵家の力、そして新公爵の力量、恐ろしい敵となるだろう。

「ミューゼル提督は陛下の寵姫の弟と言う事で周囲から反感を買っています。しかしそれ以上に貴族達は提督が何時か皇帝に反逆するのではないかと恐れているんです」
「!」
ヴァレンシュタイン中将の言葉に部屋の空気が緊迫した。皆がラインハルト様と中将を交互に見ている。

「私に協力していただけませんか、ミューゼル提督」
「……卿に協力?」
中将が妙な事を言い出した。協力? 一体何を協力しろと言うのだろう。

「国内を改革します。貴族達の権力を制限し平民達の権利を拡大する。一部の特権階級が弱者を踏みにじるような今の帝国を変えるんです」
皆が驚いて中将を見た。しかし中将は気にする事も無くラインハルト様を見ている。

「そんな事が」
「出来ます。ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯もリヒテンラーデ侯も反対はしません。彼らは私が帝国を変えたがっている事を知っている。そこまで決めた上で私を養子にと言ってきたんです」
「……」

有り得ない話だ、さっきまで驚いていた皆が今度は呆然と中将を見
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