巻ノ七十五 秀吉の死その六
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「必ずそうなる」
「そうお思いですか」
「違うというのか」
「殿、人はです」
島は怪訝な顔になり主に話した。
「殿の様な方ばかりでなく」
「何が言いたい」
「私があるものですが」
「そんなことは言うまでもなかろう」
石田は島の言葉にすぐに返した。
「それこそ」
「それはそうですが」
「しかし公は私に勝つ」
石田はこのことを疑いもなく言い切った、これは彼自身のことを見てそのうえで語ったことである。何の疑いもなく。
「そうであろう」
「そう思われますか」
「そうじゃ、だから七将もな」
その彼等もというのだ。
「わしをどう思っていてもじゃ」
「豊臣家の急にはですか」
「動く、そもそもわしは誰の讒言も中傷もせぬ」
石田はそれはしない、本人に対して隠さず言い正確な報告はするがだ。
「その様な卑怯はせぬ」
「そのこと、それがしはわかってはいますが」
「七将や他の者を貶めたこともない」
他には藤堂高虎や浅野幸政といった面々だ。加藤清正、福島正則、加藤嘉明、黒田長政、細川忠興、蜂須賀家政、池田輝政の七将の他に石田と確執のある者は。
「全くな」
「だからですか」
「誤解は解ける」
石田はこうも言った。
「天道に照らして不義がなければな」
「だからですか」
「豊臣家の家臣ならばじゃ」
「二心ですか」
「そうなる、七将も他の者も悪人ではないからな」
このこともわかっている石田だった。
「憂いはない、わしは正面からじゃ」
「内府殿をですか」
「止める、あの御仁が動くならな」
「そうされますか」
「必ずな」
「そしてお拾様を盛り立てていくぞ」
そうするというのだ。
「必ずな」
「左様ですか」
「そうじゃ、ただ御主が思うところがあれば」
石田は島に毅然として言った。
「わしの前を去ってもよい、好きにせよ」
「いえ」
島は自分に言った石田に毅然として返した。
「それがしは決めております故」
「わしに仕えるとか」
「はい、殿にご自身の禄の半分をと言われたその時から」
それを条件に仕えるかと誘われたのだ、そして島は石田のその心意気に感じ入り彼に仕えたのである。
「決めております故」
「それでか」
「最後の最後まで、地獄にでも」
「共にか」
「参りましょうぞ」
「そう言ってくれるか」
「それがしにそこまで行ってくれたのは殿だけです」
まさにというのだ。
「ご自身の半分まで、そしてそれがしを召抱えられた訳は」
「うむ、わしは軍略は疎い」
自分を分析してこう見ているのだ。
「それを補いいざという時に戦で豊臣家をお護りする為にな」
「それがしが必要だからこそ」
「御主に声をかけたのじゃ」
「ご自身の為ではないというので」
「だからか
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