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ドリトル先生と沖縄の蛇達
第十二幕その十一

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「折角答えて百手満点中三十点とかは言わないけれど」
「それを言う先生は駄目な先生だね」
「生徒のやる気を削ぐね」
 そしてこうした先生程変に難しいテストを作ったり授業が遅れている遅れていると言うのです。生徒に教えるつもりではなく自己満足でやっているので。
「駄目な先生みたいには言わないけれど」
「それでもなんだね」
「今の返事は不正解よ」
「そうかな」
「そうよ」
 まさにというのです。
「兄さんはだから駄目なの」
「全然わからないけれど」
「もう既に答えは出ているわよ」
「人は顔じゃない」
「それよ」 
 まさにというのです。
「誰でもそうよ」
「ううん、僕は性格もね」
「駄目だ駄目だでは前に進まないでしょ」
「それはね」
「だったらよ」
 サラは先生の背中を言葉で押しました。
「自分に自信を持って」
「そのうえで」
「そう、このこともよ」
「もっと前向きになって」
「いくのよ、日本では」
 日本のことからもです、サラは先生にお話しました。
「源氏物語があるけれど」
「源氏の君だね」
「あの主人公とは違うけれど」
 先生がそうしたタイプでないこともです、サラは指摘しました。ですがそれと共に先生に対してこうも言ったのです。
「兄さんも駄目じゃないの」
「もてもてじゃないけれど?」
「少なくとも嫌われる人じゃないわよ」
「だとすれば有り難いね」
「有り難いなら」
 それならというのです。
「兄さんもね」
「もっとだね」
「そっちにも積極的によ」
「学問に対するみたいに」
「そういうことよ、急がなくてもいいけれど」
 先生がそうしたタイプではないこともわかっています。
「いいわね」
「自分を駄目と思わずに」
「積極的によ」
「何かそういうことは僕も」
「兄さん自身言ってるでしょ」
「学問についてはね」
「だったらよ」
 それならというのです。
「学問以外のこともそうで」
「恋愛もだね」
「駄目と思わないことよ、いつも学生さん達に言ってるみたいに」
 先生はいつもこう言って学生さん達を穏やかに励ましています、駄目だと無理だと思わずにまずやってみるべきだとです。失敗してもいいからと。
「絶対に兄さんもいい人に会えるから」
「サラみたいにだね」
「春は桜を見る時にはもうはじまってるわ」
「ああ、日本ではね」
「だったらよ」
「励んでだね」
「頑張るのよ」
「それじゃあ」
 先生も頷きますが、しかし。
 先生は前を向くと決めても言うのでした。
「駄目とはもう思わないけれど」
「それでも?」
「果たして僕はもてるのかな」
「気付かないだけよ、兄さんが」
 またこう言ったサラでした。
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