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真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
11部分:第九話 小雪を救え
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「みんなで迎えに来たんだよ。とにかく、無事でよかった」
ユキが無事だとわかると、みんなは安堵の表情を浮かべる。まずは一安心だ。
「もうすぐ救急車が来るから、ユキは大人しくしてような」
「うん……」
「あとは……「うわ、こいつ!」」
声の方向を見ると、ユキの母親がガクト達の拘束を抜けてこっちに向かってきていた。その手には包丁が握られており、その包丁はユキではなく、モモへ。
「危ない!!」
俺は咄嗟にモモを突き飛ばし、モモのいたところに割って入る。直後、脇腹に熱い激痛が走った。
百代side
「危ない!!」
悠里の声と同時に私は突き飛ばされると、その横をユキの母親が通り過ぎる。母親は悠里と一緒に壁にぶち当たるが、悠里がそれを振りほどき床に倒れた。
「悠里、大じょ……」
そこで私は声を失った。悠里の脇腹に、包丁が刺さっていた。悠里は足に力が無くなったように膝を着く。包丁からは血が流れ出していた。それを見た私の中には、怒りが広がった。
「お前ェェェェェェェェェェ!!」
馬乗りになり、母親の顔を殴る、殴る、殴る。骨が折れようが、痣ができようが、血が出ようが、殴り続けた。
「よくも、よくも悠里を……!!」
「オイ、モモ先輩!それ以上はマズいぜ!」
「落ち着いて!お姉さま!」
流石にやり過ぎと感じたガクトとワン子が止めに入るが、止まる気にはならなかった。
「離せお前達!邪魔するなら「……モモ」!?」
今にも殴り掛かりそうな勢いのその時、悠里が私を呼び、私は慌てて駆け寄った。
「悠里!お前なんで……!」
「モモ……怪我、なかったか……?」
「私はいい!それよりお前が……!」
「そっか…なら、いいや…」
こんな状況でも悠里はモモの身を案じていた。その言葉に私は涙を流した。
「あれ……?なんで、泣いて……んだよ。モモ……?」
「う、うるさい!泣いてなんかいない!」
「そうかよ……ぐっ!」
悠里は傷口を押さえるが、血は止めどなく流れていた。私はもう一つの手を握る。
「頑張れよ悠里……!もうすぐ救急車が来るからな!」
「悠里……」
「わかってるよ……少し、寝る……だ、け……」
「寝るなバカ!きちんと起きてろ!!」
「ああ……」
「悠里!おい!!」
悠里が力無く答えると、家に救急隊や警察が大勢入ってきて、悠里とユキはそのまま病院へと搬送された。
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