駆け抜ける光
[6/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つの間にか涙が零れている。こんな悲しいことが世界中にありふれている。宇宙全体から見ればちっぽけな地球なのに、悲しみが詰まり過ぎている。
初めて宇宙に出た時に美しいと思った地球を、今は美しいとは思えない。地球は青かったと言うが、それは悲しみで出来ている様にしか見えなくなってしまった。
『ラウラ、どうかしたのか』
「……人と人が正しく理解し合えないことがどれだけ悲しいことなのかが分かってしまった」
お兄ちゃんはそれに何も答えてくれなかったけど、何かを考えている。それも私を心配してくれているのが伝わってくる。そして、かなり遠い場所から敵意を感じる。嫌悪ではなく憎悪で彩られた敵意。それが私たちの方に向かって放たれている。デルタではそこまでたどり着くことは出来ないだろう。だから、今は放っておくしか出来ない。
『ラウラ、そろそろ帰るか』
「うん」
お兄ちゃんの誘導に従って再びゼロの翼に掴まり大気圏に突入する。視界が赤く染まっていく。普通のISだとシールドに守られているとは言え、直接目の前が真っ赤に染まるんだよな。かなり怖いな。
キャノンボール・ファスト当日、天気は快晴、体調・機体共に万全。全員がISを展開してスタートを待っている。お姉ちゃんの打鉄弐式と蘭の雷王は今までと見た目は変わらないが、中身は相当いじってありそうだ。お兄ちゃんはマントを外してクロスラーまで外している。一体何を考えているのだろうか。
私は左腕にハイメガランチャー付きのシールドを右手に大型シールドに見える拡張パーツ、BWSを持っている。この拡張パーツを背中から被るように合体して左腕のシールドを前面に抱え込むようにして擬似的な可変を行う。武装はシールドのハイメガランチャーとBWSに内蔵されているビームライフルが2門、デルタのフィン・ファンネル8機と追加で開発してもらったキャリア・ファンネル2機とキャリア・ファンネルに搭載されたリチャージ出来ないファンネルが各12機。ビームライフルもビームサーベルもグレネードも今回は外した。
スタートが近づくに連れ、緊張が高まっているのが手に取るように分かる。この前、宇宙に上がってからは特に人の感情が手に取るように分かる。だから気づけた。スタート直前の1秒で3人の殺気が膨れ上がったのを。スタートと同時に真上に飛ぶ。次の瞬間、お兄ちゃんとお姉ちゃんと蘭が牙を剥いた。
スタートと同時に隣の選手のISに瞬間最大火力を叩き込み、まとめて行動不能に陥れた。関わればまずいと本能が訴える。瞬時加速で前に出ながらBWSを纏ってとにかく前に出る。フィン・ファンネルを切り離してシールドを張り、攻撃を後回しにする。多少落ち着いたところで後ろの様子を探れば、今も三人が高速機動戦を行いながらこちらに向か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ