64.■■■■
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
伸びている。
(え?今なにか………え?あれ?なんで皆鎖が伸びた事に何も言わないの……?)
『その鎖をウォノの脚に結び、もう片方をドナに持たせろ。ドナは鎖を持ったままアイズの脚につかまれ』
『ぬ?この鎖にはなんの意味があるのだ?拙者には皆目見当もつかぬぞ、おーねすと殿』
『この鎖は端と端に伝導性がある。アイズの魔法発動と同時に、この鎖を通して切れかけたウォノの『源氷憑依』にエネルギーを継ぎ足す。黒竜を倒せたとして、俺達が消し炭になったら意味がない』
『それはそうだけど、魔法の継ぎ足しなんて出来るの?』
『アズの鎖とドナ・ウォノの二人ならな。本人曰くこの鎖は繋げた相手の心の内を探ることも出来るらしい』
そんな馬鹿なと思ったが、アズなら出来る気がしてくるのは何故だろう。いっそ鎖なしに人の心が読めると言われても信じてしまいそうだ。
……ちなみに本人が起きていたら恐らく『なんか車のバッテリー充電するコードみてぇ。あの先っちょで挟むやつ』と言っていたと思われるが、恒例のオーネストにしか……もとい、オーネストくらい察しが良くないと通じない例え話である。
『後は、行動だ。はっきり言うが、黒竜がどんな攻撃を仕掛けてこようとこちらの取れる作戦は一つしかない。すなわち――』
すなわち、オッタルが拓き、アイズが往く。
地面に穴を空ける程に深く、地面に捻じ込むように踏み込んだオッタルは、その腹から爆発に近い叫び声をあげて弓のように弾き絞った剣を振り下ろす。
「ぜああああああああああああッ!!!」
気合一閃。
直後、轟ッッ!!という闘気と風圧が入り混じった突風が溶岩を貫いた。
地響きが鳴る程に凄まじい斬撃が剣圧となって静止結界の外に放出され、目の前に広がっていた溶岩の海をぱっくりと切り裂いた。それは、黒竜まで続く一直線の道となってアイズの前に現れる。
魔法もなしに純粋な剣圧のみで大地を切り裂く。その域に達するまでにどれ程の実力と鍛錬が必要なのかを語る時間も考える暇も存在せず、すべきことはたった一つしか存在しない。ドナが手を放し、オッタルが道を開け、そこに生きる為の道が拓けた。
「往け、アイズ・ヴァレンシュタイン!!黒竜を冥府へと送る風となってッ!!」
「荒れ狂えッ!!」
掻き集めた風を背に、灼熱の業火をの隙間を駆け抜ける一陣の風と化して、氷獄を纏う『破れかぶれの一撃』を突き出す。
引けば灼熱に飲み尽くされ、臆せばわが身を焔が喰らう。
故に前へ。どこまでも前へ。今という時が続くと信じて、前へ。
左右背後から炎の柱が次々に押し寄せるが、オッタルの押しのけた剣圧の余波に揺さぶられて間一髪アイズに届かない。乱れた髪が微かに外に靡き、一瞬で灰に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ