64.■■■■
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かの親切設計にしておいてくれって……のぉッ!!」
体をかがめ、俺は人より少しばかり長い脚を使って階段を一気に駆け上がっていった。
= =
溶岩の海に佇む黒竜の繭の攻撃は、劇的だった。
ごぼごぼと音を立てるだけだった溶岩が意志を持ったかのように柱となって吹き上がり、結界で守られたオーネストたち周辺に無数に立ち上る。繭そのものもこれまでにない威圧感と共に空間が歪むような陽炎を立ち上げ、アイズが素人目に見ても何か行動を起こすのは明らかだった。
「これで打ち止めだ――『源氷憑依』!!」
「ドナちゃん、準備いい?」
『オッケー!』
元気よく返事する可愛い人形は右手でアイズの足にしがみつき、左手に鎖を握っている。リージュが所持していたアズの鎖だ。若干ながら錆びつき半透明になっているが、それでもまだ物質として機能している。鎖の繋がれた先は、結界を維持するウォノの脚に括り付けてある。
「風よッ!!」
作戦通りリージュの『源氷憑依』によって絶対零度の属性を得たアイズの全身から極北の風が吹き荒れる。
『キターーーっ!!すごいエネルギー!』
「これが『酷氷姫』の魔法の力……!!」
「呆けている暇はない。準備をしておけ」
準備はいいか――などと確認は取らず、オラリオ最強の剣士『猛者』オッタルは大剣を正面に構えた。
『まず、リージュの『源氷憑依』はアイズに使う』
『………どうして、私?他の人の方がレベルは――』
『リージュの魔法とお前の魔法は相性がいい。オッタルに使うという手もあるにはあるが……おい通信機越しに聞いてる女神。一応確認だけしておくが、こいつに広域攻撃魔法はあるか?』
アイズには誰の事か分からなかったが、オッタルの眉間の血管が一瞬びくっと震えたのと、通信機から聞こえてくる妖艶な声で察する。
《あら、それって私のことかしら?まぁいいけど、オッタルにその手の魔法はないわね》
(クソオンナって………仲悪いっていうのは聞いたことあるけど、ひどい)
仮にも美の女神――しかもオラリオ内の神でも格上と言える存在によくもまぁ堂々と酷い呼び方が出来るものだ。尤も彼がここまで口汚い言葉を発することはそれ自体が稀ではあるのだが。
『……あの繭を突破するには、単なる物理攻撃に氷を付与しただけでは弱い。氷の魔剣でも都合よくあったら話は別だが、今はアイズが勝利の鍵だ。それと――リージュ、アズの鎖を貸せ』
言われるがままに渡された鎖を掴んだオーネストは輪になっていた鎖を親指で千切り、どういう原理か鎖の長さを伸ばしてリージュに返した。アイズは一瞬自分の目がおかしくなったのかと思ってごしごし拭ってもう一度見るが、やはり鎖は何故か
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