64.■■■■
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がこちら側たるオラリオで『死望忌願』と出会ったのなら、それと対を成す『何か』があるということは、ないか?それは『死望忌願』とは反対へと向かう選択を迫るのではないか?
「お前、『本当に俺自身か』?」
「一言もそう言った覚えはないが――俺がお前の人格のひとつであることは確かだ」
「じゃあお前は何故物知り声で俺に話しかけ、選択を迫る?俺に何かを決定させようと選択を迫るのはどうしてだ。どうしてお前は俺なのに、『俺はお前の意志を自分の中に認識できない』?『俺ではない何か』も混ざってるんじゃないのか?」
命に贔屓はあっても特別はない。俺が『告死天使』であったのは、『死望忌願』が俺の傍にいたからだ。いなければ俺は少なくとも今よりは凡庸な男であり、黒竜と戦うなどと奢ったことを考えなかっただろう。
俺がそうなった理屈がある筈だ。
先駆か?きっかけか?綻びか?砂漠で見つけた一粒の砂か?
どのようにそれが起きたのかなど知らないが、『奇跡的な何か』がなければ、道理に合わない。
そもそも、この広い世界に完全に同一な人間はなくとも似た人間はどこかに居るはずである。俺の人格がオラリオ行きの理由になっているのなら世界各国から異世界へ意識を飛ばす人間が大量に発生することになる。つまり、俺があちらに行ったのは何かの力が偶発的に作用したのであり、広義で解釈するに『俺の意志とは関係のない力』を挟んでいる筈なのだ。
果たして、俺の予想は正解だった。
「――然り」
俺の声をしたそれは、可能性を確定性へと変えた。
その瞬間、俺の人格が一気にオラリオ寄りに引き戻された。
そうだ、オラリオにいた俺ならこんな単純なことに気づかない訳ないし、そもそもあの世界を妄想だなどと言い出すことは決してない。俺は、俺自身に思考を引き摺られていたのだ。そうなのだと思えば、様々な事柄が一挙に浮上する。
「入る時に『死望忌願』に会う。帰る時にあんたに会う。行先は選択次第で変わる」
「然り」
「あの十字架。背負うことと捨てることと壊れること、全部条件違うだろ」
「然り」
「俺が世界に入ったその瞬間から、俺の認識に関係なくあのオラリオは成り立ったんだ。いや、もしかしたらそれ以前からずっと成り立っていたものに俺が勝手に入り込んで、そこで繋がりが生まれた」
「然り」
…………………………。
「うっわ恥ずかしッ!?さっきまでの俺超恥ずかしッ!?そーだよあんなインテリアトミックヤクザ野郎が俺の想像の範疇にいる訳ねえんだよ!!リリちゃんが変身する!?ドスケベさんのドスケベ行動!?最後にポッと出て沸いたリージュちゃんとかが俺の妄想の産物だぁ!?世界舐めすぎだ馬鹿野郎!!オーネストの言った通りだ、事実で成り立ってんだよこの世界は!!」
余
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