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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第二十六話 ホテルアグスタ 6
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次々と位置を変え、それを追うようにティアナはクロスミラージュを構え続ける。
一瞬、足元がぐらついたが、すぐに体勢を整えてターゲットを目で追う。
パチパチパチ
手を叩く乾いた音がした。
ティアナがそちらに目を向ける。
「もう4時間も続けているぜ。いい加減、倒れるぞ」
そこにはヴァイいた。木に寄りかかってティアナを見ている。
「ヴァイス陸曹…見ていたんですか」
乱れた息を整えながら、ティアナはヴァイスと向き合う。
「ヘリの整備中に、スコープでチラチラとな」
肩を竦めてヴァイスは続ける。
「ミスショットが悔しいのは分かるけどよ、精密射撃なんざそうホイホイ上手くなるもんじゃねぇし、無理な詰め込みで変なクセつけんのもよくねぇぞ」
「…」
それを聞いたティアナがヴァイスを睨むように見る。
ティアナの視線に気付いたヴァイスは苦笑いを浮かべる。
「って、昔なのはさんが言ってたんだよ。オレは、なのはさんやシグナム姐さん達とは、わりと古いつき合いなんでな」
ヴァイスは自主練を止めにきた。そう理解したティアナは意固地になる。
「それでも、詰め込んで練習しないと上手くなんないんです。凡人なもので」
ヴァイスに背を向けて、再びターゲットに狙いを定める。
「凡人か…オレからすりゃ、お前は充分に優秀なんだがな。羨ましいくらぇだ」
その声は聞こえたが、ティアナはそれに反応せずにターゲットを追い続ける。
それを見てヴァイスは少しだけ顔をしかめる。
やがて諦めるようにため息をついた。
「まあ、邪魔する気はねぇけどよ、お前等は身体が資本なんだ。体調には気ぃ使えよ」
「ありがとうございます。大丈夫ですから」
振り返りもせずにティアナが答える。
これ以上は何を言っても無駄だろうとヴァイスは首を左右に振った。
「じゃあな。ちゃんと休めよ」
結局、ヴァイスはティアナを止める事ができなかった。
隊舎に向かうヴァイスの足取りは重い。
「情けねぇもんだな…後輩一人、諭す事ができねぇなんてな」
自虐的な呟きをするヴァイス。
今のティアナには何を言っても届かない。それをどうにかする方法を自分は持っていない。
その事実がヴァイスを虚しい気持ちにさせていた。
「ヴァイス陸曹?」
不意に声をかけられた。
「…アスカか。どうしたんだ、こんな時間にこんな所で?」
前方から歩いてきたアスカとバッタリかち合った。
「陸曹こそ何をやってんですか?さっきアルトさんにあったけど、陸曹の事、探してましたよ」
まさかヴァイスと会うとは思わなかったアスカが驚いたように言う。
「ちょっと…ヤボ用でな」
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