以津真天
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差し障りはないが、定期的に祀ったほうがよかろう」
「祀るだと!?鴫崎をか!?」
「あー…甘いものでもやればいいんじゃねぇの?そのうち気が済んだら成仏するだろうねぇ」
「気が済むのって『南条』が滅んだ時じゃね!?」
―――ややこしい状況作りやがって、本っ当にこいつは…。
「内を向いても外を向いても祟り、祟り。業の深い家だねぇ、我が実家は」
くっくっく…と笑いながら、奉は湯呑を置いた。笑ってる場合か、鴫崎が大変な事になってんじゃねぇか。
「その祟りを無駄に撒き散らす祟り神もいるしな…」
「しかしアレだねぇ。千年失われなかった自我というのは…」
二つめのおむすびを咀嚼しながら、奉は小さく息をついた。
「キャラがクドいというか、しつこいねぇ…」
お前が云うんじゃねぇよ、という意味を込めて、俺はおむすびを一つ強奪した。
彼は云っていた。いつまで、我らの骸は腐り地に還ることすら出来ず、昼も夜も知れぬ闇に打ち捨てられ続けるのかと。俺は何となく、昔誰かから聞いた不思議な鳥のことを思い出していた。
それは戦場に現れ、『いつまで、いつまで』と啼き続ける。…いつまで、死体を放っておくのか…と訴える鳥。以津真天、とか云った、確か。彼の結界が果てしなく昏いのは、上空を覆い尽す以津真天の翼のせいか。
「―――啼いてるねぇ、以津真天」
あぁ、お前だったか。俺に以津真天の話をしたのは。
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