宇宙編
月決戦編
第42話 真実
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「失礼します」
ここは地球連邦宇宙軍指令室。
かつてソロモンと呼ばれた連邦宇宙軍の拠点、コンペイトウに彼、スピカ・ラムザロスはいた。
「参謀本部より参りました、ディエゴ中将、お話があります」
ゆっくり視線をこちらに向け、近づくディエゴ。
「これはスピカ中佐。いや、今は二階級特進で准将だったな?」
毅然とした態度を崩さない彼には、少し尻込みしたくなる。
「行こう、聞かれたい話ではあるまい」
連れられたのは、会議室。
と言っても人気はなく、静まり返っていた。
ディエゴ中将が腰掛けるのを見て、連れのものを退出させ中将の正面に座った。
「聞かせていただけませんか、この一連のグラフィー事件″について。現在の地球連邦宇宙軍のほぼ全指揮権を握るあなたならご存知のはずですね?」
「ふふ、それは参謀本部が君に命令を下してのことか?あの煙草臭いモグラが君に聞いてこいと言ったのかね?」
「いや…これは私の個人的なことです。…確かに参謀本部としてのコンペイトウ視察任務ですが、こうして中将を訪ねているのは完全な私情で…」
「まあいい」
中将は手を顔の前に差し出して言葉を遮った。
「どうも歳を重ねると若い者を苛めたくなるようでね。訪ねてきたのが君で無ければ家に帰るのがあと数ヶ月遅れていただろうが…いいだろう。君にはかつての借りもある。全てを話そう」
少し唾を飲み込み、背筋を正した。
「グラフィーは、堕ちたのではない。あれは譲渡されたのだよ…」
「フーバー、お前の動きは手に取るようにわかるさ??」
ライフルの光弾を華麗に躱すグレイブス。
「どうしてだ??なんであんたがこんな真似をッ??」
「知りたいのか?だったら力尽くで試してみろよ??」
ドーベン・ウルフのビームカノンが、リゲルグのシールドを直撃した。
「くっ??」
機体を上昇させ、上を取る。
機動性で勝るリゲルグ。
動き回って的をずらす他、あの火器の嵐を凌ぐ術はない。
軍人の性。
反射的にスラスターを焚き、重いGが体を左右に押し潰した。
しかし、拭いきれない違和感を感じたフーバーは、不意に機体を静止させた。
「お前は大局的に事を判断できていないだけだ。隊長をやったからって、俺に言わせりゃまだまだ子供だ」
戦場のMS同士の戦い…というよりは、教官との模擬戦闘に見える。
「くそっ…!」
「どうした?」
二機の動きが止まる。
ライフルを突きつけたリゲルグのコックピットの中で、フーバーは涙していた。
「どうした、撃てよ」
フーバーは気づいていた。
ドーベン・ウルフのビームカノンが、模擬戦闘用の威力に絞られて発射されていたことに。
リゲルグのシールドは、少し焼け爛れた程度にしか損傷していなかった。
「教官…教えてください。俺がどうしたらい
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