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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第549話】
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御別れですわね。 それではまた、ごきげんよう」


 それだけを言い残すと姿形も無くなったセシリア、そしてウィステリアが近づく。


「制限の掛かった状態での善戦、見事だった。 ……仮に互いに全力でいっていたなら勝敗はわからなかったたろう」

「……そう、ですか」


 それだけを呟く俺に、ウィステリアは更に続ける。


「次の相手は……要望があるならば聞こう」

「……相手? ……可能なら戦いたくはないが、そういう訳にはいかないんだよな?」

「無論だ。 ……君を鍛えることは【この世界の運命】を変えるのと同義なのでな」

「……運命」


 文字にすれば漢字二文字だが、言葉で聞けば重く、力強い言葉だった。


「……そろそろ夜があける。 また君の意識に介入しにくる。 ……次回の相手は私の方で決めておこう。 ……ではまたな、ヒルト君」


 そう言って身体が粒子となって消えていくウィステリア、それと同時に俺の意識が覚醒へと向かっていった。

 ――セシリアの部屋――。


「んん……」


 目が覚めたセシリア――先程まで見ていた夢が鮮明に蘇る。


「……ヒルトさんと模擬戦をする夢……。 わたくしが勝ちましたけど、どうせ見るのならばやはり甘い一時の夢が良かったですわ……」


 ため息を吐くセシリア――それと同時に時計を見ると午前五時。


「……少し起きるのが早すぎましたわね……。 もう少しだけ、横に……」


 そう呟き、瞼を閉じたセシリアは軽い眠りについた。

 場所は変わり、イルミナーティ本部、有坂ヒルトへの意識介入を終えたウィステリアは仮面を外し、鏡を覗き見た。

 青みがかった白銀の髪に紅い瞳、整った輪郭で見る人によっては二十歳ぐらいにしか見えなかった。


「……兄さん、ちゃんと眠ってるの?」

「……シルバーか。 ……何のようだ」

「兄さんが心配で様子を見に来たのよ。 ……それよりも、二人きり何だし、名前で呼んでくれても良いじゃない」

「……あくまでもここでは【コードネーム】だ。 私は【ウィステリア・ミスト】、そして君はシルバー……私の妹だが、公私混同は良くないのだよ」

「もう、兄さんは堅いんだから……」


 頬を膨らませるシルバー――紅い瞳が真っ直ぐウィステリアを捉えるも、ウィステリアは鏡を覗き込んでいた。


「……兄さん」

「ウィステリア・ミストだ」

「分かってるわよ。 ……もう」

「……。 ……【ヒルア】、これでいいか?」

「……!!」


 不意に呼ばれた自身の真名――【ヒルア】と呼ばれて目を見開くシルバー、そして嬉しそうに表情を綻ばせると。



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