暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
フルフラットさんの憂鬱
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うだけ無駄だった、という表情の龍驤に対して、早霜がおずおずと尋ねる。龍驤の身体的特徴といえば、真っ先に上がるのがその独特のボディーラインである。言い方は悪いが、女性的な膨らみが皆無、といえるレベルで無い龍驤は鎮守府内の『貧乳艦娘同盟』の首魁とされている人物であり、自らもその身体をネタにされたイジリには過敏に反応していたりするのだが。

「あー、ちゃうちゃう。ウチの胸が無いのは自分でもようわかっとるわ。おっぱいとの触れ合いが足らん!言うとるんや」

 更に混乱してきた。えぇと、自分のまな板っぷりに悩んでいる訳ではなくておっぱいとの触れ合いが足りない?となると龍驤は……

「……〇ズ?」

「ド直球やな君も。生憎やけど、ウチ女の子好きにはなれんで?ちゃーんと男の子と恋愛する気マンマンやで?」

 ますます解らん。女の園である鎮守府生活、中にはそういう趣味に走る娘もいるし、事実ウチの鎮守府にも存在する……後が怖いので誰とは言わんが。

「ウチはそんな特殊性癖とちゃうで?純粋におっぱいの感触やら何やらが好きやねん」

 龍驤の言い分はこうだ。自分の低い身長で胸が大きく背が自分より高い艦娘……戦艦や空母組、重巡なんかがそうらしいが、そういう娘達に正面から思いっきり抱き付くと顔面がちょうど谷間に埋もれるような形になるらしい。その時の柔らかさや安心感、香りなんかが堪らなく好きらしい。

「あ〜……まぁ、何となくは解る、かな?」

 俺も男だし、小さいよりは大きい胸の方が好きだと自覚はある。だからこそ、龍驤の言いたい事は解る……ような気がする。

「せやろ?けどなぁ……ウチ『貧乳艦娘同盟』の頭やろ?中々デカい娘に近付きにくいねん」

自分が貧乳ネタでイジられてきただけに、その苦しみが解るからこそ貧乳の娘達を裏切るような真似は出来ない。だが、やり過ぎたせいか胸の大きい娘達は自分の事を避けるようにさえなってしまった。何というジレンマか。

「それこそ、赤城とか加賀に頼めばいいんじゃねぇか?」

「どの面下げて頼むねん!?『乳に顔埋めたいから抱き付かせろ!』ってか!」

 龍驤が男だったら間違いなく『おまわりさんコイツです!』と突き出されるであろう事案だし、何より教え子にそんなはしたない真似は出来ないだろう。さてどうしたものか……
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