フルフラットさんの憂鬱
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一杯に広がった所に、ぬる燗を流し込む。一息でグラスの半分を飲み干してゲフッとゲップを1つ。
「ホントに親父臭ぇな。見た目が見た目なんだし、もう少し考えて飲んだらどうだ?」
「なんやの、君ぃ?ウチがチビッ子に見えるとかそんな話かいな?……喧嘩売っとんのやったら喜んで買うで?」
俺の苦言に目付きが鋭くなる。いつもの人をからかったような目付きから、肝の据わった『海鷲』の目付きに。
「やめとくよ、お前さんと喧嘩するのは後々が面倒そうだからな……龍驤」
軽空母・龍驤。目の前で親父臭い飲み方を展開している艦娘の名前である。ウチの鎮守府における航空戦力の最古参であり、今の主力となっている赤城や加賀といった正規空母達の『鬼教官』。正確には、鳳翔とのコンビで技術面を叩き込んだのであるが。基礎体力は勿論俺。『教え子』達が一人前になったのを見届けると、教官2人はさっさと一線から退き、一人は鎮守府を裏から支える小料理屋の女将に、もう一人は未熟な艦娘をさりげなく導く陰の指導者へと収まった。そんな2人は平時から仲が良く、いつもは鳳翔の店で晩酌を楽しんでいるのだが。
「はぁ……」
そんな陰の指導者である龍驤が、大きな溜め息を吐きながらもつぽんをつつく。どうみても何やら悩んでいる様子だ。
「どうした龍驤?何か悩み事か。一人でウジウジしてねぇで、打ち明ければ楽になるんじゃねぇか?」
「……打ち明けてどうにかなる悩みやないねん」
そう言ってグラスを干した龍驤は、早霜にぬる燗のお代わりを頼む。
「んなモン解んねぇだろ?ほら、遠慮しねぇで言ってみな」
元々この店は俺の趣味を兼ねて艦娘のメンタルケアを目的として作ったのだ。最近は飯や酒が主目的になってきていて、あまり相談を持ち掛けられる事も無かった。そこに降って湧いた龍驤の悩み……これを解決してやらない手はあるまい。
「……じゃあ言うで?」
「おう」
「変な顔しないで聞いてや?」
「解ったから」
「ホンマに痛いとか思わんといてや?」
「はよせい」
散々引っ張った挙げ句、龍驤が発したのはたった一言だった。
「……足らんねん」
「何が?」
「おっぱい成分が足らんねん!」
龍驤が突然出した大声に静まり返る店内……と言っても、店の中には俺と早霜、龍驤しかいないんだが。そして俺と早霜も恐らく似たような顔をしているんだろう。
『お前は何を言っているんだ?』
とでも言いたげな顔を。
「はぁ。やっぱそういう顔になるか、まぁエエわ……相談して解決するような話とちゃうやろし」
「えぇと……その、おっぱい成分が足りないというのはご自分の胸が、という事でよろしいですか?」
言
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