第161話
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でこの保険医に何の得があるのだろうか?
「というより、先生は俺と彼女が初対面だって可能性は考えなかったんですか?」
「その口ぶりからしてそうでないのでしょう?
だから、こうして聞いているのよ。」
この保険医は少々頭が良いようだ。
彼女は別段損得など考えずに、ただ暇つぶしと興味本意名だけで聞いているだけだ。
聞えないように小さくため息を吐きながら答える。
「いいえ、好きではないですよ。」
そもそも麻生に好きという感情が分からないのだ。
真理を知って一度は人に絶望して星にも絶望した彼には分からない。
だから、きっぱりと恥ずかしげもなく答える。
麻生の表情を見てそれが本当である事を知った彼女はふ〜ん、と言って席を立つ。
気がつけば昼休みが終わりを迎えつつあった。
「そろそろ昼休み終わりだけど、彼女は起きる気配ないわね。
そのまま寝かしてあげるから君は教室に戻りなさい。」
教師らしい発言を聞いて少し驚きつつも、立ち上がって保健室を出るかと思った時だった。
制理から離れようとした時、麻生の手を誰かが掴んだ。
状況からして一人しかいない。
麻生は自分の手を掴んでいる制理に視線を向ける。
穏やかな寝息をしているので寝ているのは間違いないだろう。
実際に握っている手も力はほとんどなく簡単に振り払う事ができる。
そんな状況を見て彼女はあらあら、と面白い物を見るような表情を浮かべる。
「どうやら君にその気がなくても、彼女は君にお熱みたいよ。
寝ていても傍にいて欲しいなんて、愛されているわね。」
麻生の事をからかいながら部屋を出ようとする。
「君の担任の先生は?」
「?・・・・小萌先生ですけど。」
聞いている意味が分からないので若干首を傾げながら答えた。
「じゃあ、小萌先生には言っておくから彼女の傍にいてあげなさい。」
そう言って保健室を出て行く。
少し呆然としていたが、椅子に座って制理を見守る。
昼休みの終わりの告げる鐘が鳴り響くが、麻生は気にすることなく制理を見守った。
「う、ん・・・」
ゆっくりと制理は眼を開ける。
一瞬、知らない天井が見えてどこだ、と考える。
周りを見るとそこには麻生が椅子に座ってこちらを見ていた。
「恭介・・・」
そうしてようやく自分は目眩を起こして倒れたのだと思いだした。
とするとベットに寝かされている此処も保健室である事が分かった。
ふと、自分の手に違和感を感じた。
誰かの手を掴んでいるようなそんな感触。
視線を手に向けると、麻生の手を握っている自分の手が見えた。
「えっ?・・・えええええ!?」
驚きながら手を離す。
何故、麻生の手を握っていたのかさっぱり分か
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