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俺の妹がこんなに可愛いわけがない〜とある兄と弟の日常〜
プロローグ〜少し未来のお話〜
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腕を組みながら頷く。俺の嫁も後ろで「あははは…」と苦笑していた。まあ、家の子が生まれたときよりはだいぶ落ち着いてはきたけどな。そう思いながら娘達の方を見ると桐乃が「今度ママが料理作ってあげようか?」と言ってるが娘たちから「不味いからヤ!」と言われていた。ホント、子どもって容赦無いよな。
ちなみに、桐乃は何故か娘達に自分の事を『ママ』と呼ばせようとしている。危険に思った俺と京介は桐乃に対しては絶対に『おばちゃん』と言うように娘達に教え込ませた。
「はい、あなた。これ運んでください」
「ああ、了解」
嫁から渡された肉じゃがの入った大皿を渡されテーブルに運ぶ。他にも刺身や鯛のお頭―――ん?お頭?疑問に思い運ばれている料理を見るととても豪華だった。
今日って何かあったけ?
「なあ、今日って何かお祝いでもするのか?」
近くにいた嫁に小声で尋ねる。
「もお、忘れたんですか?今日は―――ですよ」
「ああ、そう言えばそうだったな」
ようやく思い出したよ。そう言われれば朝に言ってたな。
とまあ、そんな間にも用意が全て完了。あとは、親父の帰りを待つばかり。
「お腹すいたぁ〜」
「たぁ〜」
「もう少し待っててねおじいちゃんが帰ってきたらすぐだから」
「ジジ遅い〜」
「い〜」
京介の嫁が二人をなだめる。親父、早く帰ってこないと孫達からの好感度が0になるぞ。
「ただいま!!買ってきたぞ!人形!買ってきたぞ!!」
リビングの扉を勢いよく開け『孫大好きおじいちゃん』が帰ってきた。するとお袋が「それじゃあ、ご飯にしましょうか」と言い全員が席に着く。
「その前に―――ごちそうの理由を聞いてもいいか?」
京介がそう言いながら自分の嫁の顔を見る。すると―――
「出世、おめでとう」
ふんわりと、微笑みながら言う。
「―――なんだ、知ってたのか」
「ええ、部長さんから聞きましたよ。来週から、課長なんでしょ?」
「まあ、一応な」
京介は照れ隠しのように笑いながら自分の嫁の頭を撫でる。昨晩の夢のせいかあの時の思い出が鮮明に脳裏を過ぎった。
そう、これが今の俺にとっての
現実
(
リアル
)
だ。大学時代に嫁と出会い、就職活動に翻弄し何とか就職でき、そしてしばらくして告白し子どもも授かった。
『俺』が歩んできた
道程
(
さいげつ
)
がそこにはある。
昨夜
(
ゆうべ
)
見た今は遠いあの頃の俺。『彼』が歩んでいく人生は、はたして同じものだろうか……いや、おそらくは違ってくるだろう。
暖かい団欒のなか俺はふとそう思うのだった。
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