来、来 〜小さいおじさんシリーズ16
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てくるし…俺はおかしくておかしくて…くっくっく」
こいつらに遠回しにねだられて、俺はたまに三国無双をプレイする。だがこいつらが毎回後ろで茶を吹いてのたうち回るので集中してプレイできないのだ。…ただ、呂布が出て来た時だけは一様に黙り込む。2000年過ぎても消えないレベルのトラウマを、あの人馬は彼らの心に刻んだのだろうな。
「呂布の恐さの再現率だけは半端ないけどな…」
豪勢がぶるりと身を震わせる。
「あれはもうキャラがどうとかいうより、台風とか雷と同じ扱いだったな…」
端正も応じる。そうか、天災と同列か。
「あいつと戦場で対峙したことがない貴様は幸せ者だ」
「ほーん、そうですかー。私が世に出た頃はもうその男、死人ですしー」
白頭巾は超絶無関心丸出しでティッシュを丸めて鼻に突っ込んでぐりぐり回し始めた。
「くっそムカつくなこの若造め。余らがあの猛獣をどれだけ苦労して仕留めたと思っているのだ!」
―――あぁ、この感じ。何処かで見たことがある構図。
そうだ、ゆとり世代と氷河期世代の、決して噛み合うことのない会話だ。
「よせ、不毛だ。口で説明してもあの恐ろしさは伝わらんよ。…呂布で云えば赤兎馬の蹄音、あれが響き渡ると、心底肝が冷えたものよ」
恐ろしげに、しかし何処か懐かし気に、端正は述懐する。
「同意なり。豪傑の登場は一味違うのぅ…貴様が戦場に現れた時はもう、シンとしたものだったがな」
豪勢がさりげなく茶々をいれる。
「くっくっく…待ち合わせより随分前に戦場に現れているのに、小さ過ぎて姿すら見えない何処ぞの丞相も、いらっしゃいますしねぇ…くっくっく…」
「それな!」
「ぐぬぬ」
―――何故このおっさん達は、他愛もない会話すら喧嘩の火種にしてしまうのか。
「よ、余とて嘗ては中元イチのならず者と呼ばれた男ぞ!なにかこう…あったはずだぞ!余の背後から覇気がボゥッとか!!」
端正と白頭巾が一瞬顔を見合わせた。
「…覇気とか云い始めたぞ?いい歳のおっさんが。何処ぞの海賊漫画みたいなことを」
「はあ…強いて云うならあのステルス性能は逆に恐怖でしたねぇ」
「殺すぞ」
「声はすれども姿は見えず…いや、声もそこまで大きくなかったな」
「貴様のとこの武将がうるさ過ぎなんだよ!あれじゃ余が何云っても聞こえないだろ!?」
「……良かったじゃないですか、今や皆さん、DJマキシマムの元でファンキーなライムを叫び放題でしょうから」
「殺すぞ」
そろそろ溶け始めたハーゲンダッツを片付ける。豪勢はじっとハーゲンダッツを目で追うが、俺は小さく首を振った。最近こいつ、ダッツの5パイントカップを貪るアメリカのデブみたいになってきているし。
代わりにぬるめの茶を置くと、おっさん達がわらわら群がってきた。…ほらやっぱりアイ
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