百十二 驚天動地
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
共々、木ノ葉の里に住む人々も悪寒を覚える中でナルだけが唯一平気である現状に疑問を抱かないまま、自来也は決意を新たにしたのだった。
木ノ葉隠れの里・妙木山に寒波が訪れる前、鬼の国の一角では、香燐が最初の犠牲者だった。
【魍魎】の魂を封じていた地下神殿。その神殿がある遺跡は、鬼の国の奥地にある。
遺跡が築かれているその谷底で、再不斬達は数多の幽霊軍団を相手にしていた。白と君麻呂が張った結界内に閉じ込めた武人の一掃の為である。
僅か七名であるにもかかわらず、着々と幽霊軍団の数を減らしていた最中、ソレは唐突に起こった。
「ダーリン…!?」
「お、おい……?」
その場の誰よりも逸早く異変に気付いたのは、感知能力が優れた香燐だった。
一声上げたかと思うと、何の前触れもなく意識を失う。急に崩れ落ちた香燐を、多由也が咄嗟に支えた。
「なんだ、どうした」
「わっかんねぇ。突然気を失いやがった」
水月の問いに、困惑げに答えた多由也を見て、再不斬が顔を険しくさせる。「しかも気絶間際にナルトを呼びやがった、この眼鏡女」という多由也の付言に、ハッと再不斬は眼を見張った。
弾かれたように、周りの面々に注意を呼び掛ける。
「おいお前ら!気を引き締めろ!!」
「は?急になに……」
刹那、烈風が吹き抜けた。
物凄い冷気を伴った一陣の風が谷底を通り過ぎたかと思うと、密集していた幽霊軍団が次々と音を立てて崩れ去った。一体一体が地面に倒れ、青銅の破片が飛散する。あれだけの強靭な造りの像が単なる風で瓦解していく。
妙な現象に疑問を抱く間もなく、凄まじい悪寒が再不斬達を襲った。意識が遠のく。
「ぐ…っ」
両腕を交差させ、チャクラを全身に廻らせて気を張る。幽霊軍団の武人達のようにバラバラになる意識を辛うじて繋ぎ留める。
刹那の風がようやく通り抜け、谷底に静けさが戻る。
なんとか凌いだ再不斬はようやっと肩の力を抜いて、辺りを見渡した。案の定、気絶した少年少女達に溜息をつく。
注意したにもかかわらず、気を張らなかった故に、香燐同様、気を失っているのだ。
倒れ伏した彼らの息があるのを確認してから、再不斬は改めて周囲に眼を走らせた。
自分達を取り囲んでいたあれだけの幽霊軍団が、あの一瞬で全壊した事実に、ただただ息をつく。
ややあって、武人の成れの果てである青銅の山をガラガラ崩して、人影がふらふら立ち上がった。自分と同じく辛うじて凌いだらしい少年の姿に、片眉を吊り上げる。
「…な、なんだよ……今の……」
頭を押さえながら這う這うの体で此方に歩いて来る水月に、再不斬は珍しく「ほう…?」と感嘆の声をあげた。次いで思い当る節があった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ