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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百十二 驚天動地
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ナイとは」と弟子を非難する。

「だってここじゃあ、エロ仙人だってオレと同じ弟子みてーなもんじゃん!」
あっけらかんとそう言うナルの前で、自来也はガックリと肩を落とした。




妙木山。
龍地洞・湿骨林と並ぶ三大秘境の一つであり、数多の蝦蟇が棲まう里。
現在、波風ナルと自来也は、この妙木山でそれぞれ仙術の修行を行っていた。


もっとも自来也のほうは既に仙術を会得しているのだが、仙人モードになると身体の一部がどうしても蛙化してしまう。よって今までは、見た目から女子に嫌われるという理由から仙術を使うのを敬遠しがちだった。
そこで、これを機に少しでも完璧な仙人仕様になれるようにと、ナルと共に修行しているのだ。この術をマスターすれば、モテるようになるかもしれないというのも魂胆にあったりなかったりする。

一方のナルは仙術を一から教わらなければならないが、中忍本試験で日向ネジとの試合に勝つ為に、自然エネルギーを取り込むといった初歩には馴染みがある。よって意外にも呑み込みが早かった。
そんな二人は今、木ノ葉を離れ、二大仙人であるフカサクとシマの夫婦蛙の許、修行に励んでいた。


「誰かワシの噂でもしてるのかのぅ〜」
ズビッ、と鼻を得意げにこすった自来也をナルは胡乱な眼つきで見やった。

「エロ仙人エロ仙人。周りをよく見てみろってばよ」
「んん?」
服袖をくいくいっと引っ張るナルに促され、自来也が辺りを見渡すと、里で暮らす蛙達が皆、寒そうにしている。寒さからか、目の前でこてんと気絶する蛙まで出てくるほどだ。

ポカンとする自来也に、ナルがけろりと指摘した。
「ただの風邪だってばね」
「……………」

妙木山の外から冷気が流れ込んできたのか、肌寒さを感じた自来也はじろりと弟子を見やった。周囲の者が寒がる中、一人けろっとしているナルに「お前はなんともないのか?」と訊ねる。
「オレ?ぜんっぜん!!」
エロ仙人よりオレのほうが鍛えてたりして〜?とニシシと笑う生意気な弟子に、自来也は意趣返しに言ってやった。


「バカは風邪ひかんと言うしのぉ」
「そーそー!バカは風邪ひかない…って、誰がバカだってばよ!?」

ムキ―!と怒るまだまだお子様なナルに叩かれながら、自来也は早く仙術の修行を終わらせようと誓う。見聞を広めるには旅に出るのが一番だ。いくら強くなる為とは言え、妙木山に籠り切りでは、井の中の蛙のようになってしまう可能性もある。

もっとも、自来也の危惧は他のところにあった。このまま妙木山で修行を続ければ、自分はナルに師と認識されず、兄弟弟子とされてしまうかもしれない。
それだけは避けなければ三忍の矜持に関わる。仙人修行を終わらせて、一刻も早く旅に出よう。


自分を始め、妙木山で暮らす蛙
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