■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十九話 アイデンティティ
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ロザリアの叫び声に応じ、男たちが一斉に襲いかかってきた。それに対するマルバは、武器を構えたままで動かない。最初の一撃が身体に届く瞬間、初めてマルバは動いた。
最初に飛びかかってきた男の剣は空を斬った。その背後から強烈な肘鉄が飛ぶ。敏捷補正を受けてとんでもない速さで打ち込まれた肘鉄はその男を宙に打ち上げた。ただの肘鉄にも関わらずHPはイエローまで減っている。
次に現れた男の武器は両手斧だった。振り上げられた斧はその頭上で砕け散る。唖然とする男の頭を足蹴りにして跳ぶマルバは空中でチャクラムをキャッチすると、前方のプレイヤー二人の得物に向かって再び投擲した。二人の剣は耐久値全損は免れたものの高々と宙を舞う。思わずそれを追いかけた二人の視線は一瞬で闇に覆われた。唯一見えるHPバーの左に、特殊状態異常《盲目》のアイコンが表示される。なにが起こっているのかすらわからないうちに凄まじい衝撃が身体を襲い、地面に叩きつけられる感触を得る。減少するHPバーはもうすぐレッドに染まるところで停止した。
徐々に回復する彼らの視界が次に捉えたのは、地に倒れ伏す仲間たち全員の姿だった。
「なんだ、こいつ……!!」
「強すぎるだろ、こんなの!」
口々につぶやく男たちの視線が橋の向こうで待機していたロザリアに集約した。ロザリアは一つ舌打ちすると、青色の結晶を掲げた。
「転移――」
しかし……ロザリアはその先を続けることができなかった。飛来したチャクラムが一瞬で結晶の耐久値を刈り取ったからだ。
「さて――」
マルバが口を開くと、絶望の表情をした男たちがマルバの方を向く。
「――ここにあるのは《回廊結晶》。つい一週間ほど前迷宮区のトレジャーボックスで見つけたばかりのものだ。僕じゃ使う機会もないし売っぱらおうかと思ったんだけど、なんとなくとっておいたんだよね。さて、君たちにはこれで監獄エリアに飛んでもらう。回廊結晶代は置いて行ってもらうよ?ただで送ってあげるほど気前いいわけじゃないからね。」
全員が回廊結晶によって開かれたゲートの向こうに消えた後、シリカはマルバの背に向かって話しかけた。
「……攻略組、だったんですね……」
「あー、うん。低層で訓練するとあんまりいい顔されないから黙ってたんだ。ごめんね。」
「いえ、それは構わないんですが……。攻略組、ですか。凄いんですね。わたしなんかには到底真似できないような戦いでした。まるで別次元のような。」
「ううん……この世界の速さとか力とかはただの数値だからね。僕が強いわけじゃない。ただの数値上の差でしかないよ。」
「さっきの戦闘ばかりじゃありません。攻略組ってことは最前線で他のプレイヤーを開放するために戦っているんですよね?ほんとに、すごいです……わたしなんて、ずっと中層で冒険ごっ
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