第23話 復讐の果て
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速くなる。
「まだ立つか!」
「ッォォォオオ――――」
士郎の投擲された無銘の剣を横っ面に受けて、無理矢理視線を後ろに向けさせられた時にアステリオスの視界に入ったのはヒカルに近づいて行く死神の姿だった。
「――――――――――ヒ、カ・・・ル・・・・・・まも・・・るっっ!!!」
「なっ!?」
理性を失ったはずのアステリオスは叫びながら死神に突っ込んで行く。
しかし悲しいかな、第二宝具発動中と発動直前の黒子には例え英霊であろうと触れることが叶わい。
故にヒカルの守護の為、狂化と言う名の牢獄から無理矢理這い出てまでのアステリオスの突進は、空しく空を切った。
「くうぅぅぅ!!?」
すり抜けた先で顔面から地面にダイブしたアステリアスは、泥まみれになりながらも直に起き上った直後に見たモノは死神が鎌をヒカルに向けて振りかぶろうとする姿だった。
−Interlude−
死神が近づいてくる時、ヒカルは別に恐怖など感じなかった。
叫び続けていたからでは無い。
絶望していたからでも無い。
寧ろその感情は困惑――――そしてそれ以上に安堵。
何故ならば――――。
『お母・・・さん・・・?』
ヒカルが10歳の時に事故で亡くなった筈の彼女の母親が、満面の笑みで近づいて来ていたからだった。
当然ヒカルに近づいて来ているのは無くなった筈の彼女の母親では無く、死神姿の黒子だ。
だがそんなことは判らないヒカルは、近づいて来る母親に対して動け無い体を無理矢理動かそうとする。
『お母さん。お母さんお母さんお母さんお母さんお母さん・・・・・・ッお母さん!!』
ヒカルは動けないが、代わりに近づいて来た彼女のは母親は笑顔のまま両手を広げて抱きしめようとする。そして、黒子の第二宝具が解放される。
『残酷なる理、この世の生苦に囚われし迷える子羊よ。今こそ其方に救いの手を差し伸べん――――せめて、安らかなれ』
死神の鎌はヒカルを横一文字に振り切る。
ヒカルは幻の中の母親に優しく包まれて、あらゆる苦悩から解き放たれる。
「――――ずっと、逢いたか」
その言葉が最後となり、永遠の復讐者に導かれた小さな復讐者である天谷ヒカルはこと切れたように倒れ込んで、安らかな笑みのまま息を引き取るのだった。
それを遠くから見ていたアステリオスは、マスターを失った事で消滅しかけるも、自分を覆っていた炎を吸収して最後の悪あがきを仕掛ける。
「おまえ、だけは、ゆるさないっっ!!」
『――――』
特に気にした様子も無かった黒子は、アステリオスに何となく視線を向ける。
「ぼくと、ずっと、まよえ!しね
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