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マイ「艦これ」(短編)
マイ「艦これ」(短編)「トモダチっぽい・前編」改1.6
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不思議と気持ちが落ち着いてきた。

 私たちは改めて夕立を見る。彼女は煙突を背負って手には砲塔らしき武器を持っている。だがその砲身はグニャグニャと曲がっていた。
 彼女自身がススに汚れ、服はボロボロ。さすがに艦これゲームの大破ほどに素肌は顕わになっていない。
それでも彼女の素肌は黒いスス汚れや赤い血が滲んでいる。痛々しい。

 私は思わず呟く。
「ねえ、怪我してない?」
「日本語、通じるのかな?」
「だって艦娘って日本の……」
そこまで言ったとき、夕立は痛みを堪えるような表情をしながら口を開いた。

「ここは何処っ? ……あなた、艦娘っぽい?」
 彼女は私の姿を見て言った。そうか、防具をつけた私は、まるで空母の艦娘のように見えるのだろう。

 私は頭を振った。
「ゴメン、私は艦娘じゃない。でも貴女は夕立?」

彼女は少し驚いたような表情を見せながら弱々しく頷く。

「まるで戦闘直後ね」
ミサトの言葉に私はハッとした。

「ねえ、部室に救急セットあるよね!」
「あ……あ、そうだね」
直ぐにミサトは先輩のロッカーの側にある扉を開いて、救急セットを持って来た。

 私は防具を着けたまま夕立に近寄る。一瞬、警戒したような表情の夕立に私は言った。
「大丈夫、心配しないで……とりあえず血を止めなきゃ」

 私はミサトの持ってきた箱を開いた。消毒液にガーゼ、絆創膏……本当に基本的なものしか入っていない。しかも開封済みの絆創膏の包みが乱雑に散らばっている。この時ほど普段の整理整頓が重要だと痛感したことはなかった。

「止血……」
 私は自分のロッカーへ引き返すと、ハンカチとタオルを取り出した。それを見ていたミサトもまた自分のロッカーからタオルを持ってきた。

「タオル濡らして来るから、とりあえず傷口の手当を」
ミサトの言葉に頷いた私は、救急箱から消毒液とガーゼを取り出した。ミサトはタオルを抱えて部室を飛び出した。

一瞬、ミサトを見送って振り返った私は思わず小さく叫んだ。
「あ」

手当てをする前に夕立の艤装だっけ? 煙突とか砲塔を外さなきゃ。

 さっきから硬直している夕立に私は話しかけた。
「傷の手当をするから、その装備を外せる?」

 やはり一瞬身構えた夕立だったが防具をつけている私が艦娘に近いと感じているのだろう。直ぐに小さく頷くと自分の艤装を外し始めた。

「うっ……」
時おり顔をしかめる彼女。あまりにも痛々しい。

 私は彼女に近づいて艤装を外すのを手伝う。ムッとする独特の匂い……何となく車のエンジンとかタイヤのような臭いも混じる。これが『硝煙臭』という戦場独特の砲弾とか火薬の匂いなのだろうか? 

 ずっと半信半疑だった私は夕立に接し改めて、この艦娘はきっ
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