32秋子の昔話
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となったリビング。
少女たちの中では栞と月宮真琴だけが目を覚まし、名雪は食材を買いにお使いに追い出されていて、舞も疲れたのか座って目を閉じた。
(何がどうなったんだ?)
一部始終を見ながら、何が起こったのか把握していない祐一も、ビデオを止めてダビングできるように巻き戻し、家のビデオデッキに繋いで新しいテープを取り出し、ダビングを開始した。
そこでまた真琴の携帯電話が鳴り、嫌な顔をしたが、母親からの電話だと気付いて電話に出た。
「お母様っ?」
「おお、真琴か、まだ命があったか」
本家に遅れること数十分、やっと真琴一行への処刑宣告を聞き、娘に電話した母。
「ええ、みんなに助けてもらって、今は秋子様の所にいるの」
「そうか、お前は使い魔に食われてしまったのか? それとも元のお前なのか?」
「私は元のままよ、憑依してるのは使い魔じゃなくて、純血の妖狐に宿っている精霊と同じなんだって。相沢くんが出した使い魔が特殊な契約をして、川澄舞さんが出した使い魔を精霊に変えたそうなの、移動している所はビデオに撮ったわ、また送るね」
このビデオを見た無能や、不老不死が欲しくて仕方ない痴呆が入った老人たちが、自分の使い魔に言い含めるだけで術式が使えると思い込み、沢山の喜劇を産んだのは言うまでもない。
「では、お前は今、どうなっておるのだ?」
「うん、相沢くんとも愛し合って、倉田佐祐理お姉様から精霊を譲っていただいたから、これから風と雷槌の精霊にしてもらえるの、体は燃えてしまうかもしれないけど、私も現人神になれるの」
それが教団の究極の目的なのか、涙ぐんで母親に報告する真琴。
「そうであったか、他の巫女も全て神となるのか?」
「うん、栞さんも香里も、佐祐理お姉さまと天野ミシオさんは改造が終わったりして精霊が抜けてるの、いつもの三人にも精霊を宿してもらって、後何日かで現人神になれるそうなの」
七人もの神人を生み出し、同じ精霊が宿った舞も同じになる。真琴と母は喜びの涙を流した。
「そうか、では土曜には帰って来い、待っておるぞ。こちらも今は大騒動だ、お館様は秋子様のお怒りに触れ自害、新しいお館様からお前たちの助命が命令された、もう安心すると良い」
「え?」
自分の近くにいる人物を見て恐怖が走る、この現人神は月宮の当主に自殺を命じることができる。
「ではまた電話する、体を大事にな、神人となって故郷に凱旋するがいい」
「うん……」
複雑な表情で電話を切った真琴、このまま数日生き延びることができれば、佐祐理と同じ「不滅」にして貰えるかもしれないが、本当にそれまで生きていられるのかが不安になった。
もし沢渡真琴が目を覚まし、自分に襲いかかってくれば抗うすべはない。秋子に不敬な態度を取り続けた自分たちは、その逆鱗に触れ
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