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KANON 終わらない悪夢
32秋子の昔話
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ら出た言葉でしたが、もう人と同じになった姉には、どうしても信じられず、また多くの嘘を重ねました」
(じゃあ名雪って、やっぱり俺の妹っ?)
「それは後でお話します」
 祐一に目線を送ると、秋子ちゃんは話を続けた。
「青年についた嘘とは、妹と交わると力が消えるだけでなく、今までの記憶、人間の娘との思い出まで消してしまう事を隠しました。それは自分以外の女と子供を愛し、今でも大切な記憶として思っているのが許せなかったからです」
 普段はそんな素振りすら見せなかったが、自分の母親がそこまでしてでも、父親を独占したかったのだと思い知らされる。
「でも青年も、姉の邪な考えを薄々知りながら、その願いを受け入れました。例え何かを失ったとしても、命さえあれば子供達を見守り、支える事ができると思い、自分の命を永らえる方法を選びました。その後、姉の妖孤は再び記憶を失った青年を連れ、妹や仲間達から逃げるように姿を隠しました。そして青年と愛し合った娘が死にかけても、その子供が苦しんでいても、それを知る力すら失い、愚かな人間として何年も過ごしました……」
 秋子は静かにノートを閉じ、エプロンのポケットに入れた。

「姉さんとお父さんの馴れ初めはここまでです、でも故意ではなかったんです。私も舞さんや川澄さんを助ける程の力は無くしていました、姉さんを許してあげて下さい」
「はい……」
 もう混乱して、許すとかどうとか言える状態では無い祐一。
「でも、馬鹿な事をしたものです、獣と言っても同じ巣に住む異性には発情しないのが普通です、変に引き離したので、みんな久しぶりに会って余計に興奮したみたいですね」
「は?」
「最初はもっと早く、発情期に入る前に三人を会わせるつもりだったんですけど、姉さんが渋って、なかなか引き渡してくれなかったんです。祐一さん、妹や姉と愛し合えて嬉しかったですか?」
「な? 何言ってるんですかっ」
「ちょっと抵抗があるかも知れませんけど、気にする必要はありませんよ、何しろ私達は獣なんですから」
 そこにはもう、いつもの秋子さんではなく、獣の目をした一匹の秋子ちゃんが祐一を見ていた。
「そんな……」
「今日はお姉さんともでしたね」
「すいませんっ!」
 名雪に続いて舞とも愛し合ってしまい、冷や汗や脂汗を流し、異母姉妹とも激しく交わってしまった自分の愚かさを後悔する祐一。
「いけませんね、人間の習慣に慣れすぎです、平安時代は異母姉弟でも結婚できましたし、古代ペルシャなら最近親婚が当たり前だったんですよ。それと、最後にお父さんと私が交わって力を失った後、こんな約束をしました」
「え?」
 秋子ちゃんは満面の笑みを浮かべながら祐一の隣に座り直し、だんだんと近寄って来た。
「姉さんの子供が大きくなった時、丘に帰る為、その子の力を私に分け
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