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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十六話 誰が邪魔をしやがるのですか?!
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ミュンデ侯爵夫人のところに、奇妙な客人が尋ねてきたのは、この事件の直後だった。むろんオーディンにいるベーネミュンデ侯爵夫人らはまだ惑星フェザーンでテロが起こったことを知ってはいない。
ベルバッハ、シュライヤー少将、エルラッハ少将、ゴッドホルン子爵らいつもの取り巻きの前に、現れたフードを被った男はそれを外すと、さる貴族からの紹介状を指示して見せた。
「汝はド・ヴィリエ主教と申すのじゃな。」
蓮の葉ででも磨いたかのようなテカテカの丸坊主の精悍な男を前にして、ベーネミュンデ侯爵夫人は興味なさそうに名刺をテーブルの上に戻した。
「侯爵夫人、その肩書は少々古いものでして、間もなく大主教となります。」
一同はこの男をまるで異物か何かのように固唾をのんで見つめていた。かすかな嫌悪感と共に。宗教というのは冠婚葬祭の際にしか縁がない貴族連中や軍人にすれば、それを表に振りかざして歩く「地球教徒」とやらには何かしら得体の知れないものを感じる人間がいたとしても無理からぬことである。
「そのような事を申しにわざわざ妾の前に参ったのではあるまいな?」
「むろん、そのような事を申し上げに参ったのではありません。」
ド・ヴィリエは薄く笑みを浮かべた。
「侯爵夫人、僭越ながら一つお尋ね申し上げたきことがございます。アンネローゼとかいう皇帝陛下をたぶらかせ奉る女、それとその弟のミューゼル・・・いや、今はローエングラム伯爵という身分でしたかな?」
一瞬間をおいてみせたド・ヴィリエの視界には彼の思惑どおりの顔をしているベーネミュンデ侯爵夫人のすさまじい形相が映し出されていた。ド・ヴィリエはベーネミュンデ侯爵夫人の怒りの視線、居並ぶ者の、嫌悪、好奇、それらの視線を一身に浴びながら居間の中を闊歩しながら話をやめない。一歩ごとに自らの紡ぎだす言葉を、それこそ床にある分厚い絨毯の上に刻み付けようとでもいうように。
「この二人は国政を壟断し、かのリヒテンラーデ侯爵やブラウンシュヴァイク公爵でさえも手を焼いているという評判。」
不意に大主教はベーネミュンデ侯爵夫人に体ごとさっと振り返った。
「そのような二人に天誅を与えたいとはお思いになりませんか?」
「あの女・・・あの弟!!妾はこの世に生を受けてこの方、あのような汚らわしい者どもを見たことがない。あの者たちと同じ国にいるという事さえ屈辱なのじゃ。」
ベーネミュンデ侯爵夫人は拳を震わせていた。今ここにアンネローゼとラインハルトの頭でもあろうものなら、手近にある陶器を持ち上げてためらいなく振り下ろしているだろう。
「ごもっともです。」
ド・ヴィリエが頭を下げた。
「恐れながら我々が及ばずながら微力を捧げ、彼奴等の首を持参してご覧に入れましょう。」
「本当か!?」
ベーネミュンデ侯爵夫人が身を乗り出した。数々の暗殺が失敗して
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