SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第20話 償いの任
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ーとしての強さ、逞しさは微塵も感じられない――空と一緒で寂しがり屋な、ただの姉に甘えたい弟としてのユウがそこにいた。
あたしは思わず笑い声が漏れる。
「要するに、あんたは『お姉ちゃんがいなくて寂しいよ〜』ってことね」
「ち、違っ! そ、そそそういうわけじゃ……!」
「いやいや、そういうことじゃないの。しっかりしてるって思ってたけど、なんだ、まだまだ子どもね。ちょっとだけ安心したわ」
「うっ……」
「あたしよりも年下っぽいのに、年以上にしっかりしてるように見えたもの。でも、蓋を開けてみたら、こんなにもカワイイ子どもっぽい一面もあったのね〜。ちょーウケるんですけど〜」
「くぅ〜……!」
あたしの言葉に、ユウが顔を夜だというのにわかるほど真っ赤にして悔しそうに、恥ずかしそうに俯き、上目遣いで睨んでくる。睨まれているというのに、まったく怖くない。むしろ可愛くすらあった。
「あんまり大きな声出すと、ソラとキリトが起きちゃうわよ。せっかく気持ちよく寝てるんだから、起こさないでやりなさいな」
「だ、誰のせいだと思ってるんですか……!」
「さ〜て、誰のせいかしらね〜」
唇を突き出して吹けない口笛を吹く。
吹けないならやらないでくださいよ、と呆れ混じりの声が返ってきた。
「まあ、話を戻して――まとめるとユウはお姉さんに会いたくてたまらないのよね。あたしとソラを見ててさ。どんだけ言葉上では否定しても、心の中ではそう思ってるんでしょ? 意地になってまで否定するのが、その証拠」
「うぅ……ま、まあ……何ていうか、その」
「んで、直接的な解決方法なんだけど、そんなのないわ」
はっきりと言った言葉に、一瞬固まったユウは力なく笑いながら「ですよねぇ」と返す。
「当然よ。あたしたちはこの世界に閉じ込められているんだから。現実世界にいるユウのお姉さんに会えるわけがないわ。ゲームがクリアされなければ、ね」
これは仕方がないことなのだ。
そもそも、ユウの抱えている悩みは、この世界で生きている全てのプレイヤーに言えること――全プレイヤーが胸の中に抱えていることなのだ。
姉に限った話ではない。父親、母親、祖父母、弟に妹、兄、友達、恋人……各々のプレイヤーがそれぞれに今もなお会いたくてたまらない人というのは存在するだろう。特別なことなど何一つない――当たり前の感情、想いなのだ。
「だから、ごめんなさい。あたしには、あんたの悩みを解決できないわ。それはこれから先も終わるまでずっと抱えていくしかないの」
ユウは声を出さずに小さく笑うだけ。あたしとしてもできることなら力になってあげたいけれど、こればかりはどうしようもない。
少しの間お互いに口を開かない時間が続いたあと、「あ、そうだ!」と、この会話の中で一番大きな声を上げた。
「
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