暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第20話 償いの任
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ってくる。
「こんなに選り取り見取り……ていうか、統一性のない食材じゃあシチューが一番でしょ。まだまだ暗い時間になると寒くなるし、ちょうどいーのよ」
「そうだな。材料切って煮込むだけで簡単だしな」
「言ってくれるわね〜……本当に熟練度が低いとあんたの言う『簡単』な調理も本当に大変なのよ」
「そ、そうなのか。噂通り大変なんだな……」
「え、噂通り? 料理スキルに噂とかあったの?」
 思わず口を挟む。リズの言ってた通り、やっぱり僕は引きこもり過ぎて世間のトピックスについていけてないらしい。
 僕の言葉にキリトはわずかに苦笑じみた表情をする。
「噂っていうか、割と有名なんだよな。料理スキルは、なかなか熟練度が上がらない上に、失敗したらとんでもないものが出来上がるって」
「と、とんでもないもの……?」
 この問いにはキリトではなく、ニナさんが答える。今度はこっちを見てくれた。しかし、その目は何かに絶望したように虚ろだ。
「ユウは、漫画とかよく読んでた?」
「? 読んでましたよ?」
 唐突な質問に少し言葉に詰まりながら、答える。
「なら、わかるはずよ。よくギャグとかでこの世のものとは思えないような黒とか紫のボコボコしたスライムみたいなのあるじゃない」
「あー、ありますね〜」
「あんな感じ」
「え? え、えぇ〜……」
 あんなのが作れちゃったりするのか……。熟練度上げるモチベーション下がるだろうな〜……。想像しただけで気持ち悪くなってくる。
「あの、聞く必要ないかもしれないですけど、お味の方は……」
「くっっそマズかったわよ! 発狂するかと思ったわ!」
「ですよねー」
「想像するだけで吐き気がするわ……何なのよ、あれ。匂いまで最悪ってバッカじゃないの? あれデザインした人は、ほんっとうにぶん殴ってやりたいわ〜……」
「そ、そこまでっすか……」
「食べたいって言うなら、今から作ってもいいけど。食材ならたくさんあるし。失敗することほど簡単なことなんてないしね」
「「本当にやめて!」」
 キリトと僕の声が重なる。
 僕たちの叫び声に、今の今までベッドの上で寝ていたソラがビクッと飛び跳ねた。ニナさんからの視線がすごく痛いし、こわい……。
 ニナさんはわざとらしく大きなため息をついたあと、ソラに向かって声をかける。その目は弟に向ける姉のそれだった。
「おはよ、ソラ。もうちょっとしたらできるから待ってな」
「……んー」
 まだ眠気の抜けきってない声でソラは返事をしたあと、またこてんとベッドに倒れた。そして寝息が聞こえはじめる。
「……よほど疲れてたんだな」
「そうだろうね」
 キリトの労いのような言葉に、僕も同意する。
 今日はかなり四人で遊んだし、そしてついさっきまでとんでもない事に巻き込まれていたのだ。……ま
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