31真琴の危機、魔物の引っ越し
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身で受け止めさせられた。
「秋子様……」
『私が命じた簡単な言いつけも守れない無能。相沢祐一の嫁候補である月宮真琴一行を無傷で出頭させるよう言ったのを無視し、殺すように命じたのは誰か?』
「わ、私です、これは掟ですので必ず…」
『黙れ、私の命令は掟より上、それを守れないのなら災厄で答えよう、天罰を受けよ』
「それだけはご容赦をっ!」
『処刑の命令を出した全員を直ちに開放せよ、美坂栞や香里、倉田佐祐理、川澄舞への実力行使も禁じる、天野の家はこの命に服した、月宮の家は降格する、お前は耄碌し過ぎた、命令を実行した後に自害せよ、一日だけ猶予を与える』
「か、かしこまりました……」
秋子の術で命じられ、遺言を残し、引き継ぎをした後に、自分の意志に反してでも自害が決定した月宮家当主。もし呪いの言葉でも残せば家そのものが絶え、災厄によって滅ぼされる。既に傀儡となった当主は、粛々と命令を実行した。
その頃の天使の人形。
(いやあ、今日は大収穫だね、こんなに大勢の術者の命が吸えるなんて、めったに無いよ)
「ふふっ、天使クンやりすぎ」
(いやいや、縮地で走り回って、みんなぶっ飛ばしたのは栞ちゃんじゃないか)
「でも、食べちゃったのは天使クンでしょ?)
栞の家の近くには、月宮の刺客が転がり、命を吸われて老人のようになった術者が倒れていた。栞本人も殺戮を楽しんだが、これ以上穢れが残らないよう、死人は出さないように調整された。
(お姉ちゃんは…… いいか)
こんな状況なので、姉も似たような状況だろうと思ったが、自力でどうにかできないなら知らないと、故意に救援には駆け付けず、キッパリサッパリと見捨てた。
香里の病室。
香里抹殺停止の指示を断り、当主の命令を掟通りに実行しようとした者がいたが、看護婦の服を着た人物が撃退し、香里の眠りは守られた。
母親は舞の術で帰らされ、テレビクルーも帰らされていたので被害は無かったが、血の匂いで呼ばれた一弥が術者の命を吸い、あゆのために持ち帰った。
「お疲れ様、今日は大変だったようですね」
別の看護婦の服を着た女性が交代のために現れ、軽く話して引き継ぎをしていた。
「ええ、人数も少なかったのでそれほどでも無かったんですけど、使い魔の少年が来てみんな食べられてしまいました」
ここにも老人のようになった術者が倒れ、病院の世話になりそうだったが、点滴や薬でも「命」を補充する術はなく、徐々に回復したとしても長生きはできない。
「秋子様の指示に従っていれば、私達のように命を与えられたものを、気の毒ですね」
「ええ」
病院で病死寸前だった女性たちも、秋子の使い魔を宿らせて貰って命を繋ぎ、勤務時間外では子供を育てたり普通の人間のように暮らせるが、他の少女達のような自由意志はなくなっていた。
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