31真琴の危機、魔物の引っ越し
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らず、オートロックのはずのマンションの三階に直接来て、オヤシロサマを担いで真琴たちを定形外の「ヤマト便」か、佐川の240サイズぐらいで梱包して月宮の里まで運搬しようとしている男達。
「表にいるのは宅配業者ではありません、後ろに警官の格好をした者が二人おりますが里の術者です、お嬢様はお逃げ下さい」
少女達は顔を見合わせ、集まって小声で会話しだした。誰が前衛か決め、防刃ベストを着こんで防刃手袋をはめ、手に手に凶器を持って戦闘態勢に入った。
「分かりました、『三名、盾となって我を逃がせ、地根力顕現あらはせあらはせ、この者達の命を糧とし、金剛力を与え給えっ!』ゆけっ、金剛力士っ!」
月宮真琴は印を結んで何かの呪文を唱え、後ろを向いた三人の背中に順に平手を叩き込んだ。
『『『応っ!』』』
三人は扉の前に立ち、あふれる力を示すように服の袖や背中が破れ、突入の瞬間を待った。真琴は持ち物を捨て、ポケットに電話とメモリーカードだけを入れると、指先を噛んで血を出し、涙を流しながら額に血で紋様を書き、空中に何かを描いて印を結び、別の呪文を唱え始めた。
『我は疾風、山野を駆け抜ける風なりっ、何人たりとて我を捕らえること能わずっ、瞬動天足の術! あああっ!』
今度は自分の両足の太腿の辺りに平手を叩き込み、素足の脛に血印を描いた。少女が四股を踏むと、その足には風が纏わり付き、目で追えなくなって姿がぶれて霞んで見え、狭い部屋には風が吹き始めた。
『解錠』
術者が外から鍵を開けて扉を開くと、人が飛び込んで来たが、金剛力士と化した三人が押し留める。
「お嬢様っ、お逃げ下さいっ」
『相分かったっ! 命を失う前に降るが良いっ!』
術者の隙間を通り、三階の通路から飛び降りた真琴は、電柱や電線、地面と飛び降り、文字通り風のように消えた。
「押せーーーっ!」
「「おおっ!」」
力士と化した三人は、警官のような格好をした二人を倒し、残りを壁に投げ付けていた。
「追うぞっ、下も固められているはずだっ、暴れられるだけ暴れて、突破口を開く」
「おおっ」
力士達が駆けて行き、階段の踊り場から踊場を一歩で飛び、階下に降りて行った。
秋子の家。
即座に電話に向かってスッ飛んで、月宮真琴に電話する祐一。ポケットに入っていた携帯番号を素早くプッシュした。
「真琴ちゃんっ!」
「あ、相沢くん? 私、もう駄目みたい」
猛烈な風切音の中を走っていると思われる真琴。マンションから疾風の術で逃げたようだが、追手の「待てー!」だの「裏切り者っ!」と叫ぶ声まで聞こえ、拳銃の発射音や弾丸が直近を通過する音が聞こえた。
祐一は全力のヘルプミー表示の顔で、舞に向かって振り向いて叫んだ。
「舞っ、真琴のいる場所まで道を開けるかっ?」
「…今日は使い過ぎたからだ
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