30美汐の嫁入り、栞の復讐
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美汐です」
両名とも、ほぼ「敵」と言っても間違いでは無い人物が現れ、家から誰何する人が出て来てもおかしくない状況だったが、祐一がいるので許されていた。
「電話ではお話できなかったんですが、今、災厄が起こっているんです。秋子さんから貴方の中に使い魔が入っているとお伺いしまして、取り出せるなら取り出したいと思うんですけど、どうでしょうか?」
「は? 使い魔?」
早速本題を切り出されたが、身に覚えがない話に戸惑う。伝承や口伝で聞いてはいるが、もしそうなら自分は助からない。
佐祐理の不用意な発言と、秋子の言葉でも裏打ちされたため、監視されている美汐の運命がここで決まり、使い魔が入っている親族の処刑が決定された。
「舞、天野の中に右足の魔物、居るように見えるか?」
「…分からない」
香里に入っていた魔物のように、命を繋ぐため全力で活動していたのと違い、佐祐理や美汐は瀕死では無いので、設計図通りに体を強化するだけで済んで、日中は舞本人にすら分からないほど静かに眠っていた。
「どうなってるんです? 私に使い魔が入ってるなら、もう私は助からないんですか? 食べられて死んでるんですか?」
天野家の人間らしく、色々な説明は不要な美汐。それも自分の運命まで知っているようで真っ青になってへたり込むと、今日わざわざ天野本家に呼ばれて色々質問された理由も分かった。
(今日は、捕まってたんだ……)
自分では気付かないうちに深夜に出歩き、生け贄を探し歩いていた美汐。警察にも簡単に見付かり内偵されていたが、妖狐関連の事件なので親族で処理される運びになっていた。
「いやいや、大丈夫だ、心配しないでくれ、俺か佐祐理さんなら取り出せるんだ、ちょっと魔物、使い魔と話をさせてくれ」
「お姉ちゃん、でしょ? 一弥」
空気は読まず、佐祐理的には一番気にする事を指摘しておく。
「ああ、ごめん」
その間に舞が近寄って、座り込んでいる美汐を起こそうとした。
「…私の右足、この子の中にいるの?」
「天野、ちょっと魔物と交代してくれないか?」
進退極まった美汐は、残念ながらいつものようになった。舞の背後に回り、右腕を首にかけて締め上げながらこう言った。
『カラダヲカエセ』
その頃の栞と天使の人形。
(ここが小学校の頃、何年も君を虐めてた奴の家だ。彼女ご自慢のエリートのパパが、何年か前に二十年ローンで買った、新築建売三階建て、カーポート付きの夢の一軒家だ)
七年前、天使の人形が保護するまで地獄の生活をしていた栞。
病原菌とか汚物扱いされ、体や気の弱さもあって暴力やイジメには無力で、教師やクラスメイトまで参加して苦しめ続けられた日々、ようやくその仕返しをする日が来た。
「へえ、これが」
似たような家が4,5軒並ぶ、まだ綺麗な家だが、栞は
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