30美汐の嫁入り、栞の復讐
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いた。
「……ある」
「そうですか、じゃあ、お願いがあります」
「何だ? どうしたんだ?」
「一度、祖母に会って頂けませんか? 真琴も一緒に連れて来て下さい、お願いします」
「ああ、会うぐらいならいつでも」
もちろん、「病気の祖母と契って元気にして欲しい」と頼まれれば断るつもりではいた。
「ありがとう、ございます、きっと祖母も喜んでくれます」
いつもと違い、涙声で話しながら嬉しそうにする美汐。
「おい、泣くほどの事じゃないだろ、どうしたんだ今日は?」
「はい、こんな時勢ですから、話しても馬鹿にされるだけです、それに、また真琴に会えるなんて……」
もしかすると、自分もまた、あの子に会えるかも知れない、そう考えただけで本格的に泣き始めてしまう美汐。
「他にも話があるんだ、ちょっと出られないか? 何ならこっちから行くし」
「はい、少しなら出られます」
「今、どこにいるんだ?」
「天野の本家です、丘の麓、天乃御渡神社の近くになります」
そこで徒歩で行くのか、舞の力で移動できるのか、受話器を離して確認してみる。
「舞、丘の神社の近くまで行けるか? 天野の本家って所らしい」
「…貸して」
祐一から受話器を奪い取って話し始める舞。もちろん挨拶も無く、事務的な内容だけ伝えた。
『…そこはどこ? 場所を想像して』
「は?」
それでも術に掛かり、自分の居場所を想像してしまう美汐。
『…分かった。天野家』
舞の目の前にゲートが開くが、秋子の家と同じで部屋の中にはゲートを開けず、家の門の前に開いた。
「えっと、今から行くから門の前まで出てくれないか?」
「え? 今すぐですか?」
「ああ、さっき話した舞が、門の前まで転移する道を開いてくれた、すぐに行くよ」
「はあ? わかりました」
電話を切って玄関に向かい、出かける準備をすると、佐祐理と舞も同行するつもりで席を立った。
「ちょっと中座させて頂きます、天野さんとお話してきます」
「そうですか、帰りは天野さんも連れて来た方が良いと思いますよ」
「はい、では行ってきます」
舞がゲートを掴んで移動させ、靴を履いた所で移動していった一同。
天野本家
三人がゲートを超えた所で、門の前まで来た美汐と出くわした。
「えっ? そんな……」
「ああ、驚かせたな、舞の術とかは、いつもこんな感じだから勘弁してくれ」
「まさか相沢さんがこんな非常識な事をするなんて思いませんでした。今のは何ですか? 家の者にも見られましたっ」
門を少し離れても監視されている美汐。この家を訪ねてはいけない不倶戴天の敵である倉田家の長女、さらに忌み子川澄舞まで訪れてしまい、警戒を高める天野家。
「学校ではお会いしてますね、倉田佐祐理です」
「…川澄舞」
「はい、天野
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