30美汐の嫁入り、栞の復讐
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ようで、一人発覚すれば全員回収してしまうのがセオリーらしい。
その頃の栞と天使の人形。
(栞ちゃん、今日はこれでいいかい?)
「うん、ちょっとトイレに」
わざわざ倒壊した家の中に転移し、トイレを済ませようとする栞。天使の人形もその意図は分かったので、家がそれ以上壊れないように支えた。
「助けて、助けてっ」
「へえ、あんたでも助けを呼ぶ時なんてあるんだ、誰を呼んでるの?」
「ヒイッ!」
自分に触れただけで、予言通り何もかも壊し、破滅させた幽霊の気配に怯える女。
「お願い、もう許して、助けてっ、足が痛いんだ」
壊れた柱に足を挟まれ、もう逃げることも立つこともできない女だが、本心では「必ず復讐してやる、仕返ししてやる」と思っていて、その声は栞にも聞こえた。
「私達が同じこと言った時、あんたは許してくれた?」
「もうしないよ、許してっ、許して〜」
栞や他のイジメを受けていた少女が同じ願いを口にしても、サディストの顔で喜び、さらに過酷なイジメを続けた女、もう許す必要など無かった。
「へえ? ちょっとオシッコしたくなっちゃった」
天使の人形の呪いにあてられた栞は、今までの表層のペルソナを失い、「病気や苦痛を味わった者だけが持つ、優しく美しい心」が反転し「暗い呪いを煮しめたような、醜く恐ろしい心」が表に出て、天使のような笑顔で女の前に座り込んだ。
「ゲホッ、ぐはっ、やめてええっ」
「あははっ、その潰れた顔、病院の鏡で見るといいわ、医者も看護婦も泣いて逃げるよ、はははっ」
満足した栞は、手近にあった大型テレビを、女の顔に叩き付けてさらに潰し、屋外に出た。
(お帰り、君は危ない所に入っちゃダメだよ)
「うん、でも自分で手を下してやりたかったんだ」
証拠を消す方法はいくらでもあったが、栞が「私がやった」とマーキングしたいようだったので残してやった。
もちろん救助にあたった消防署と警察の間には、縦割り行政の巨大な溝があり、「要救助者が多人数にレイプされ、家屋も破壊され陵辱の限りを尽くされた」のは一行たりとも警察に送られず、警察でも何一つとして調査は行われず、訴えられた建築会社の名誉を守るためだけに調査が行われ、誰も引き取り手がない障害者の少女に手を差し伸べる者もなく、病院から請求があって、仕方なく支給された障害年金から病院の費用が天引きされるだけの生活が始まった。
(明日は君を無視してイジメに参加した、BBAの教師の所に行こうか)
「いいの? 楽しみ」
祐一や同年代の男では、決して得られない満足を与え、夢の世界にエスコートしてくれる相手を見て、心をときめかせる栞。毎日のように夢のデートに誘ってくれる相手に夢中になっていた。
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